研修報告

 研修報告  2025.11.25

日本外傷学会主導国内外傷診療施設研修報告
ー公立豊岡病院但馬救命救急センターー


日本外傷学会では、2025 年度より若手外傷医の育成を目的として、学会の補助による国内外傷診療施設研修制度を開始されました。
40 歳以下の若手会員を対象に、全国の外傷専門医研修施設の中から希望する施設において短期研修を奨励する制度です。
研修の対象施設は、本学会が認定した外傷専門医修練施設とし、若手外傷医が希望する施設での外傷診療研修を学会が斡旋します。
今回当教室員渡邊活医師がこの制度を利用し、公立豊岡病院但馬救急救命センターでの研修を行いました。
以下、渡邊医師より報告です。


公立豊岡病院但馬救命救急センターでの研修について報告いたします。
11月10日から23日までの2週間、日本外傷学会主導の国内外傷診療施設研修制度を利用して、公立豊岡病院但馬救命救急センターで外傷診療研修を受けてまいりました。
 
但馬救命センターがカバーする但馬地域は兵庫県北部の広大な山間部を含み、救急医療の対象範囲が横浜市の約6倍に及びます。
この環境下で、ドクターカー(年間2,618件、1日平均7.2回)とドクターヘリ(年間1,717件、1日平均4.7回)が24時間365日体制で相互補完しながら病院前診療を展開しており、その実際を体験できました。私が本施設を選択した理由も、この豊富な病院前診療の実績にあり、当センターならびに横浜地域の病院前診療・外傷診療の発展に活かすことが目的でした。
 
研修は段階的に構成されており、各種プロトコルの学習、資機材の把握と使用方法の習得、シミュレーション訓練を経て、実際のドクターカー・ドクターヘリ出動への同乗に至りました。
特に印象深かったのは、機上から脳卒中プロトコールを発動してDirect CTからt-PA・血管内治療へ迅速につなげる体制、STEMIモードやトラウマコード、MTPなど疾患別に標準化されたプロトコールが整備され、多職種が共通理解のもとで機能している点でした。消防本部とはリアルタイムに情報共有し、出動判断や搬送先選定を迅速に行う強固な連携体制が構築されていました。

  

指導医の先生方の熱心な指導と豊富な症例を通じて、自施設の診療を振り返る貴重な機会となり、但馬救命センターの理念と情熱を肌で感じることができました。
今回の学びを当センターの外傷診療・病院前診療の質向上に還元してまいります。具体的には、トーマスバッグや外傷バッグの整備とブラッシュアップ、シミュレーション教育の充実、一歩一歩着実に症例数増加につながるよう努力したいと思います。将来的には、外傷のみならず内因性疾患に対する病院前診療へのREACT導入も検討したいと考えております。
 
他施設での研修は多くの気づきをもたらし、診療への高い意識を持つ救急医の先生方との交流は大変刺激的でした。横浜の病院前診療・外傷診療の発展に貢献できるよう、今回の経験を最大限活用してまいります。


 このような活動に興味がある若手医師の皆様、お気軽に横浜市大救急医学教室までお問い合わせください。

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