国際学会/国際研修参加
ATS2018発表(2018.5.23)
この度2018年5月18〜23日サンディエゴで開催されましたATS2018(米国胸部学会)の報告をさせていただきます。
この学会は世界中の呼吸器関連のMD,PhD,Nsなど多職種の参加者の学会です。参
加人数が20000人弱と多いため学会会場が巨大であり、San Diego convention centerだけでなく、 隣のMarriott,Grand Hyatt, Hilton hotelも使用し、朝7時のsunrise lectureから始まり、夕方4時15分までびっしりと講演・Discussionがあります。
分野は全ての呼吸器関連疾患で小児から成人、palliative careまで、良性疾患・悪性疾患・超急性期疾患(ARDS・Sepsisなど)・肺高血圧・希少疾患などなどいろんな分野の参加者がいます。同時に30会場を超える会場で15〜20演題のoral poster discussion、各10〜20演題くらいの講演がなされます。
Poster presentationが毎日800-1200演題。各分野で提示され、その間演者は自身のポスターの前で立って説明を行うようなスタイルです。
自分自身2012年の大学院時代からほぼ毎年参加しており、自分の研究成果を知ってもらうとても良い機会であるのと同時に、締め切りまでのどこまでしないといけないかという目標設定ができるので、abstratcsubmittionとacceptが非常に自分にとってのmotivationを保ってくれるような学会と位置付けています。
SanDiegoは自分にとって2回目のATSの場所ですが、ATS2014でJo Rae Wright Awardを大学院時代の研究で頂き、講演させていただいたという本当に思い入れが深いところでした。
今回の発表演題は、「Src Activation is Critical for KRAS-dependent Regulation of Human Airway Basal Cell Differentiation into Secretory and Ciliated Cells」という以前の所属先でありますWeill Cornell Medical College, Dept. of Genetic Medicineでの仕事の一つです。
肺腺癌の遺伝子異常として知られている喫煙関連がん関連遺伝子KRASの正常気道上皮基底細胞の対する作用機序ー分泌細胞・線毛細胞の分化の亢進(ATS2017)に対して最も関連しているsignal pathwayを同定し(Src)、そのSrcが実際にKRAS activationとどのように関連しているのかという結果の証明をしたという仕事です。
この発表に関してaudienceからは気道上皮基底細胞の使用に関する興味と仮説に矛盾しない研究結果、in vivoとin vitroでの矛盾しない結果に関して興味を持ってもらい、説明をすることができました。
自分のテーマとして、喫煙関連演題(e-cig, vipor, smoking cessation, water pipe)やARDS/ALI、Sepsis関連のsessionを中心に今回は参加し、多くの演者と有意義なdiscussionができました。今後の臨床研究および基礎研究に繋げられるようなネタもいろいろと拾ってくることができ、今後実践していきたいと思います。
この学会は本当に興味深い学会ですので、滞在期間中毎日朝から夕方までずっと会場で過ごす日々でしたが本当に非常に実り多い学会でありました。学会参加中に前ボス主催恒例のwine partyでラボの歴代の方々(世界中にcrystal labからのprofessorがいます)が集い、同僚達と会合があったり、新しい出会いがたくさんあったりした中で、今後の留学生・見学者の受け入れ等のコネクションの維持についても話をしてくることができました。
自身の目標としては来年のATS2019(Dallas)にも今度は当教室のデータ・研究で参加できればと考えております。
Euro ELSO 2018(2018.5. 29)
このたびEuro ELSO2018に参加してきましたので報告いたします。
EuroELSOはヨーロッパにおけるECMOの学会であり、ECMOの学会としては最大規模で、ヨーロッパだけでなく、米国、アジアなどから沢山の参加があります。今回はチェコ・プラハで5/23-26まで開催され、全日程を参加させていただきました。
日本からは竹内教授をはじめ、6月からECMO研修でお世話になる日本医科大学の市場先生、多摩総合医療センターの清水先生などがinvited facultyとして参加され、Educational corner にて世界を相手にしている先生方の姿が眩しかったです。
今回のEuro ELSOでは、主催のチェコ・カルレ大学がECPRやVAーECMOを得意としており、その関連のセッションやシミュレーションが多かったです。内容としては、ECPRの適応や、LV unloadingなど日本でも問題になっていることがトピックでした。VV-ECMOについては、ECMO患者の搬送、肺移植までのブリッジなどについて、カロリンスカ大学や米軍ECMOチームから豊富な症例数をもとに報告がありました。ただ国ごとに事情が異なるためコンセンサスは得られていないのが実情でした。
様々なセッションを聞き、ECMOに関しては病院前体制、院内体制、コストなど医療経済、そして一つのゴールとなる移植医療体制を整えなければ良い結果につながらないということを強く感じました。今回発表されていた施設はどこもECMOセンターを掲げていましたが、人口370万人をカバーし、行政と密接な繋がりを持っている施設はそうそうになく、今後に横浜市大がECMOセンターを目指すことの意義を強く感じ、胸が高鳴る思いでした。
またECMO患者のモニタリングに関するセッションがあり、自分が日頃から関わっている肺エコーならびにrSO2が取り上げられておりました。肺エコーは紹介レベルの内容でしたが、rSO2については、ECMO患者の脳酸素代謝の指標、下肢虚血モニタリングとして世界のECMOセンターではかなり有用視しているようでした。rSO2についてチェコで自分と似たような研究をされている先生に質問させていただき、両者の研究にとって有意義な話ができました。また自分が興味を持っている分野とECMOが繋がっていることを感じることができ、自分の進むべき道はこれなんだと確信し、ここでも胸が熱くなりました。
国際学会の参加はまだ2回目ですが、こんなにも学び感じるものが多いとは思いませんでした。ぜひ後輩の先生達にも興味のある分野の国際学会に参加し、横浜市大という環境の良さを実感しつつ、自分の進むべき道を見つけてもらえたらと思います。みんなが国際的に前に進めば、それは教室自体が前に進むことになると思います。
未来の横浜市大ECMOセンターのために、来年のEuroELSO(スペイン・バルセロナ)には、 ECMO研修での成果を演題として出し、一歩でも前に進みたいと思います。
EVTM2018(2018.6.20)
France, Paris AP-HP研修(2018.9.12)
横浜市立大学は平成27年1月にパリ公立病院連合(AP-HP)、横浜市との3者で締結した臨床・研究・教育の協力関係の構築を目的とした覚書(MOU)に基づき、救急医療をはじめとした医療分野の連携や交流を進めてきました。
平成28年度はMOU運営委員会が設置され、教職員・学生の派遣および視察の受入が実施されてきました。当教室は平成28年より毎年、教室員をパリに派遣し、現地の救急医療との交流を深めてきました。今年(平成30年)は当教室から私、高橋耕平がAP-HPでの研修の任を受けましたので、ここに報告させて頂きます。
今回は、このパリSAMU本部のあるNecker HospitalでMICUの出動に同乗したり、European Hospital Georges Pompidouの救急部門の視察など5日間の研修を行いました。
フランスの救急医療は、その病院前診療に大きな特色があります。SAMU(Services d'Aide Medicale Urgente)と呼ばれる緊急通報受信とその後の調整を行う組織と、その調整に基づき現場派遣されるMICU(Mobile ICU)と呼ばれる緊急車両がその骨格となります。
特筆すべき特色は、その過程(一般市民からの救急通報の対応、現場診療、病院への搬送など)すべておいて、医師が直接関与する点です。研修して実感したことは、医師が病院前診療に直接関与するメリットは早期治療を開始できることだけではなく、現場診療の診断に基づき適切な患者を適切な病院に適切な搬送手段で運ぶことができるという点です。
実際に経験した症例では胸痛を主訴とする症例に対して、現場出動した医師の診察で急性大動脈解離を強く疑い、心臓血管外科のある病院を選定し、ERを経由することなくICUへ直接搬送をしていました。より良い病院前診療体制とは何かを考えるヒントを得ることができ、非常に有意義な研修であったと思います。
最後にこのような貴重な機会を与えてくださったMOU運営委員会をはじめとした横浜市立大学関係者の皆様、また非常に示唆に富んだ講義をして頂いたCarli先生、Vivien先生、Veber先生、Juvin先生、それに快く研修を受け入れてくれたSAMUおよびPompidou病院の職員の方々に感謝申し上げます。
カロリンスカ大学でのECMO研修(2018.10.9)
カロリンスカ研究所はスウェーデン・ストックホルムの北にあり、ECMOセンターとして世界的に有名な機関です。また、最近日本人がノーベル生理学・医学賞を受賞しましたがその選考委員会があるのもカロリンスカにあります。
Euro ELSO ECMO Courseはカロリンスカ研究所で毎年開催されているコースで、今年は10月1日から10月4日まで開催されました。ドイツ、オランダ、アメリカ、イギリス、ポルトガル、ポーランド、中国など世界各国より計24人の参加者があり、うち日本人は7人でした。
コース内容は24人を4グループに分け、レクチャー、症例検討、シミュレーション、回路トラブルシューティングを1日かけて順番に学んでいくというスタイルでした。毎日8時から17時まで行われ、初日終了後はカロリンスカ大学病院のECMOセンターの見学も行うことができました。
ECMOセンターのECMOphysician、specialistなどがカロリンスカで実際に行なっていることを元に直接講義を担当しておりました。普段我々がやっている臨床と同様の管理のこともあるし、全く違うものや、本当にそんなことをやっているのかと疑いたくなるようなものまであり、とても多くの知識や刺激を受けることができました。
ECMO導入基準に関してはELSOガイドラインに準じており横浜市大との大きな違いはありませんでした。カニュレーションはECMO surgeonがいればsemi cutdownで行い、いなければ経皮的穿刺をエコーで行なっていました。カニュレーションサイトは大きく異なりました。VAでは大腿送脱血、VVでは大腿脱血、内頸送血が多いかと思いますが、カロリンスカではVA VVともに内頸脱血、大腿送血とのことです。
理由は、VAの場合は内頸脱血ではより酸素化されていない上半身の血液を多く回路に流すことによりmixising pointより心臓側の酸素化を改善すること、VVの場合はリサーキュレーションを減らすことができると述べていました。管理に関してはAPTTを指標とすることは同じでしたが、血液ガスは通常我々がとっているAlineからはとらず(体の酸素化はSATを見ればよいとのこと)、人工肺前の血液ガスを1-2時間ごとに採取していました。
これによりリサーキュレーションの割合を推測でき悪化した場合はカテーテル先端の位置異常などを疑うきっかけとなるとのことでした。
また、圧測定に関してはルーチンで3箇所(ポンプ前、人工肺前、人工肺後)を常にモニターしていました。
トラブルに備え、ECMO患者の前には常に新しい人工肺、ポンプを置いておきいつでも交換ができる体制をとっていました(40秒での交換が目標だそうです)。weaningに関しても異なる点がありました。VVでは最終的にO2フローをクランプし評価を行うという点は同様でしたが、その前にCO2の除去能力評価のため人工肺にCO2を加え、自己肺のみで換気ができるかの評価を行なっていました。VAではblood flowを1L/minまで落として心エコーで評価をしますが、その際にO2フローをクランプします。1L/minのフローがシャントとなりますが、それで堪えるようなら離脱は大丈夫であろうとの説明でした。この方法に関しては他の参加者からも疑問が上がっていました。カニュレーション抜去は動脈の場合は縫合しているとのことでした。
カロリンスカの臨床の印象としては、世界の最先端のエビデンスを集めそれをもとに多くの症例を実践しているというわけではなく、世界のスタンダードはあるかもしれないが、カロリンスカではこのように行なっている。そしてその根拠はカロリンスカで蓄積してきたデータが示している。というように感じました。症例としてはVV-ECMOが多いようで、あまりECPRについては触れられませんでした。
とても多くのことを学ぶことができ、大変有意義な研修でした。今後横浜市大としてデータを集積し、独自の戦略を構築し、臨床にぜひ生かしていきたいと思います。
France, Paris, AP-HP研修(2019.11.1)
この度9月9日〜本日13日までAPHP(Assistance Publique Hôpitaux de Paris)で研修させていただきましたのでご報告させいただきます。この研修に関しては毎年当大学より参加させていただいており、この度とてもよい機会をいただき参加させていただきました。
今回の研修の目的は、①Parisにおける救急医療体制(Doctor car EMS system; SAMU)②ParisのER, intensive care、trauma emergency, post operative care、Pediatric emergency上記を学ぶことです。
これまで同教室員の先生方、救急病棟Nsが歴代で参加されており、恐らく先人の方々に追記することはほとんどないかと思いますが、基本的にはParisのDoctor car systemと日本やアメリカで採用されているParamedic systemの違いは何かというものをSAMUを通じて学ぶことができました。
非常に学びが多すぎて、かなり端折っている部分も多いですが、Volumeとしては非常にHeavyです。なので読み飛ばしていただいて結構です。
Parisは直径10km、円周33kmに囲まれた20区からなるフランスの首都であり、病院の配置等に関しては横浜市とほぼ変わらないというのが印象でありました。各病院間は約10分以内のところに配置されており、救急車が搬送のメインであり、ドクターヘリを必要としない市でありました。施設内でヘリポートを有しているのは2施設のみ。基本的にはドクターヘリは使用しません。郊外からの搬送・郊外への搬送時にのみ使用いたします。
Professor Benoît VivienSAMU(Services d'Aide Médicale Urgente): 横浜市でいうと指令センター&#7119の役割を担っており、一日2000-2500件の救急に関する連絡を受ける場所。
Paris市内の南方Montparnasse Station近傍にあるNecker Hospital敷地内にSAMUにはEmergency Physician 3名、General Practitioner 2名、regulation assistant 6名で構成されているregulation roomを施設内に持ち、24時間3交代制で救急の連絡を受けるという体制を取っていました。救急連絡が入ると(#15;日本の119)、Regultion assistantが医療相談を受け、プロトコールに沿って救急車の必要性、SAMU(Mobile ICU)の必要性を判断します。
実際にSAMU出動を決定するのはEmergeny Physicianでありますが、その選定の基準は電話において、胸痛はSAMU必須、その他会話中の息遣いや声の変化などある程度「医師の勘」でMICUを出動させるか否かの判断をするということをPhysicianは担っておりました。必要と判断されない場合、日本同様所轄消防から消防救急に出動要請がかかり、現地に行き、病院に運ぶというParamedic systemを採用していました。日本同様8-9割は救急の指令だそうです(消火活動は1-2割くらい)。SAMUが出動してもPA連携同様消防士とともに診療に当たります。
SAMUの構成は、ER physician 1名、Anesthesia Ns 1名、Caregiver 1名の合計3名のグループが、4チーム構成されて順番に出動しています。シフトに関してはかなりstrictであり、どこの病院においてもParisの医師は週44時間以上の労働を国家的に決められています。これを破り、診療を続けて医療訴訟を起こすものなら刑務所に入れられ禁固刑になるそうです。なので夜勤や自身の勤務体制に関しては非常に重要なpointとなります。
SAMUに所属する医師は30名、regulation assistantは40-45名です。その人数でシフト制で回しております。General Physician、Regulation assistantに関しては救急に関する相談を受けてアドバイスを行い、横浜市での#7119と同様の役割を行なっています。実際、SAMU1隊の出動は勤務時間内に3回くらい。幸か不幸か自分の出番は2件、サイレンを鳴らしてParis市内を爆走し、現場に行きましたが、積極的なSAMUの活動が必要ない症例であり(出動したPhysicianもなぜ出動になったの?と言っていました)、患者搬送もありませんでしたが、別の隊でCPA症例があったようでSAMUのECMO専用Mobileも出動し、患者を搬送していたようです。
SAMUの利点は、いち早く現場に到着し、安定化させ、病院に運ぶ。基本ER(初療)は介さず、直接intensive care unitに運び治療が継続されるところでしょう。
-ER/GICU/Trauma center/ORに関して-Hôpital européen Georges-
Pompidouはセーヌ川沿いに位置する約800床の病院
ER, Trauma center, oncology, 心血管外科が非常に有名な病院であり心移植・肺移植の中心となってる病院でもある。ERはwalk-in, ambulanceともに受け入れており、1日平均70-100人くらいが来院。このERのBossはProf. Juvinで議員さんでもある(https://en.wikipedia.org/wiki/Philippe_Juvin)
患者が来院すると、まず前室で10分以内にNsが症状・バイタルサイン等を取り、Protocolに従いトリアージ、Blue, Yellow, Redに振り分け、BlueはBlue Unit(walk-inで問題ないところ)、Yellow/Redは病室に移動となる。
ERの構成は、Triage room, Blue unit, Yellow/Red Unit, Door Unit(15床)に分かれており、Nsがそれぞれ2-2-3-2で配置されており、このNsに加えて介護士(caregiver)が補助に入る。Drも各勤務帯で責任者制。Nsはルート確保・採血・BGA・ECG全てやる。(医師がこれらのことをすることはよほどのことがない限りないらしい)ER physicianは基本的に患者を診て、検査オーダーして、専門家にコンサルトするという流れであり、完全に初期処置を行い、各科に振り分ける。もちろん外来で帰せるものは帰す。しかし、日本のように救急科が全て診断・治療を行うわけではない。
救急外来の奥に存在するDoor Unitは、temporaryな病棟で最大で2日間の滞在、目標としては1日で転機を決定する。ここにはNs2名が常駐、各主科医師がここの患者を診る。入院は一日35人くらいで夜間15人くらい入院するが、ベッドがほぼ満床であることが多く、病棟を探すのが大変であり、朝からの責任者の仕事はベッドコントロール。当直帯はスタッフ2名、レジデント2名、深夜0時までの勤務が1名の4.5人で構成されている。
常に医学生(intern;医学部3年生から午前中は毎日出勤しており患者の診療にあたる。5人の患者を受け持つ。午後は授業。)がおり、スタッフについて病歴等々から診療の流れ、確定診断の過程をディスカッションをしている。当教室が初療室で行なっているようなスピード感はなく、救急患者の外来での待ち時間は長い印象、さらにはERでの滞在時間が長い。
Traumaに関しては基本ERに来ない。Trauma centerに直行。SAMUで搬送された患者はそのままICUに直行。Post operation room-術後の回復室の位置づけで痛みや冷め具合によって滞在時間が異なる。
全部で16床。麻酔科医が管理を行う。ICUは25床 Unit 1-4となっており、基本はGICUの位置付け。この病院は心移植・肺移植の拠点病院であり、Unit 3-4の前部屋がある病室で管理する。これは感染に配慮したもの。医師は、スタッフが3名、レジデントが10名の13人制。2交代制をしいている。勤務時間は44時間/週。ICU Nsは重症患者2名を1人が担当する。ECMOは12台あり、7台くらい同時に稼働していたこともあり。心血管系が発展していることもあり、使用頻度は高い。ECMOはintesivistが責任を持って管理する。導入はcardiovascular surgeon,Cardiologist, Intensivistが行う。
-Trauma Center-
患者が幸か不幸か来院なく、詳細は全く不明。
-operation room-
この病院には3箇所あり、今回訪問したのは、整形・形成・婦人科の手術室。スケジュール管理はステーションで確認することができる。1730からは4人、1930からは2人のNs体制になってしまう。ここでも勤務時間の管理が非常に厳密である。手術麻酔は麻酔Nsがanesthesia管理下に薬剤投与・挿管・術中管理・抜管を行う。日本では主科医師が手術開始前から手術室を出るまで麻酔科医を一緒に管理していることが多いと思うが、ここではあっという間にいなくなり、術後管理も基本的にはしない。
-Pediatrics ER-
Parisには3箇所小児科救急病院がある。(Hôpital Armand-Trousseau Ap-Hphttp://trousseau.aphp.fr)
年間15000件くらいのPediatric ERの来院があり、一日平均200件くらいの来院があり。冬場には250-300件の小児を受け入れる。この病院には小児科のほか産科がある。(Necker Hospitalに関しては年間75000件くらい小児救急を診ているらしい。)
小児ベッド数は120-130床くらいで冬場にはベッドを探すのが大変である。ER小児科医はスタッフ15人、レジデント10人+インターンが数名おり、外来リーダーが毎日交代でコンサルテーションやベッドコントロールを行っている。勤務に関してはやはりとても厳密で、Max44時間まで。2交代制。ERに続く24時間ベッド(Door Unit)は12床Max Pediatric ERもAdult ERと同様な体制をしいており、Nsがプロトコールに従ってトリアージし、physicianに渡す。
実際、このトリアージに関しては6ヶ月のER見学とその後2日間の実践トレーニングで行う。このトリアージプロトコールが非常にしっかりとしており、症状別に分かれたものがトリアージ室(3カ所)に置かれている。ER Phycsicianは診断・治療に関して、全て病院としてのProtocolがあり、治療方針も1年に一度bookletを改定して仕様している。初療と簡単な処置を行う。採血もしなければ点滴も入れない。もし挿管が必要な患児がいる場合、SAMUがすでに挿管済みでERを通らずICUに行くか、ERでそう判断された場合には、小児ICUからintensivistが降りてくる。実際ER physicianの挿管は2年で1回しかないと。小児診療室には患者の不安や痛みを取るという目的のため、iPadを使用した診療を行っている。ICUはNICU12床、PICU8床、超低出生体重児4床でICU intensivistがいる。24週500gが最小でNeonatalから18歳までの集中治療を行う。このICUにはECMO使用する部屋が2床あり、ほぼ常に使用している。VV-ECMO、VA-ECMOを年間40-50例。場合によってはパリ郊外のECMO centerにヘリで搬送することもあり。ヘリポートは施設内にはなく、20分くらい離れたところからヘリ搬送を行う。
Adult, PediatricsともにERには非常に多くの患者が来院し、トリアージからコンサルト・入院まで同じような流れで行われていた。役割が本当にしっかりしていた。Parisでも診療は予約制であり、急患の場合は日中でもERに行くことになる。ここは日本との違いと思います。
-others-
研修は朝8時30分から18時までしっかりさせていただいておりましたが、もう一つ我が教室にとって非常に嬉しいことがありました。
去年Université Descartes de Paris から当大学に交換留学生として救急科も1週間ローテーションしてくれたAndy Benziと会いました。彼は医学部最終学年として、Necker Hospital, Hematologyで3ヶ月間勉強中であり、敷地内にあるSAMUに会いに来てくれました。彼は横浜市大での研修が本当に為になったそうで、その際に当教室員から受けた「おもてなし」が本当に嬉しかったそうです。
ご両親が我々3人を自宅に招待してくださり食事を共にしました。ご両親からは本当に美味しいフランス家庭料理と非常に温かいお言葉を頂きました。これも教室員みなさんのお陰です。
Euro ELSO 2022
今回イギリスで開催されましたEuro ELSOで発表の場をいただいたのでご報告いたします。
Euro ELSOはヨーロッパにおけるECMOの学会であり、ECMOの学会としては最大規模で、ヨーロッパだけでなく、米国、アジアなどから沢山の参加があります。今回はロンドンで5/4-6まで開催されており、今回は5/5のe-Posterのsessionで発表させていただきました。
発表様式としては座長の先生と発表者、数人の前でプレゼンをするような形で行い、適宜質問を受けるというような流れでした。
今回発見させていただいたのは以前にもご報告させていただいたものでKL-6がCOVID-19におけるECMO導入におけるbiomarkerになりうるかという後方視的観察研究でした。
発表でいただいた質問は、CTとの比較はどうか、KL-6が高すぎるような症例はどうか、の2つでした。経験談ではありますが、KL-6が高い症例だとCTで肺の繊維化が進んでいるような実感があり、そのような症例だと肺の不可逆性が進んでいるためECMOでも救命できないのではないか、ただCTとの詳細な比較はできていないのでそちらに関しては課題となると考えております。
今回の発表で感じたことは、自身の英語力の未熟さです。おそらく上記の内容はほとんど伝えられておらず、拙い英語になってしまいました。また、他の発表者の方の発表ではより深くディスカッションできていたように見えましたが、自分のプレゼンではそこまで上手くできておらず差を感じました。準備不足というより日頃英語を使用する機会が少なくこのような失敗に至ったと考えられるので、この反省を生かせればと痛感いたしました。
しかしながら、他のセッションなどを拝聴し経験のないような体外循環の試み(CO2 removal目的で使用する体外循環、心電図と同期して収縮期と拡張期で流速が変わるVA-ECMO、ECMO下での脳死判定、pre-hospitalでのECPR)を海外で行っているとのことでとても興味深い話ばかりでした。今回は参加できませんでしたが、教育セッションもあるため次回以降そちらも受講してみたいと思いました。
また、現地でたまたまお会いした先生(前橋→オーストラリアのThe Prince Charles Hospitalで基礎研究を行っている)とお話する機会があり、現在の留学生活や苦労話を伺うことができとても刺激を受けました。こちらも現地に行かなければ経験できなかったことなので現地に行ってよかったと感じております。
海外学会参加を通じて感じたことは、現地に行ってみないと分からないことが多いということです。現地でしか味わえない経験は今後の進路におけるモチベーションに繋がるものでした。今後日常の臨床だけでなく研究や海外での活動にも目を向けていき、今後またこのような機会が得られるよう精進したいと思います。
イギリスでは既に8割方ノーマスク、普段の生活を取り戻している様子でした。日本への入国はPCRが必要である点や煩雑な手続きをこなさなければならない点などまだ海外へのハードルはありますが、ヨーロッパの印象を見るとそれもなくなっていく流れになると推察します。若い学年の先生方も、一度経験すると視野が広がることに繋がるので一度このような経験をお勧めいたします。
France, Paris, AP-HP2022
横浜市立大学は平成27年1月にフランス・パリ公立病院連合(AP-HP)、横浜市との3者で締結した臨床・研究・教育の協力関係の構築を目的とした覚書(MOU)に基づき、救急医療をはじめとした医療分野の連携や交流を進めてきました。平成28年度はMOU運営委員会が設置され、教職員・学生の派遣および視察の受入が実施されてきました。
当教室は平成28年より毎年、教室員をパリに派遣し、現地の救急医療との交流を深めてきました。
新型コロナウイルスの世界的な蔓延で一時研修派遣は止まっていましたが、今回南医師がAP-HP, SAMUで研修を行ってきました。
この度フランス・パリのAP-HP(パリ公立病院連合)にて研修をおこなってまいりましたので報告いたします。
過去にも複数の教室員の先生方が研修をされており、私も同様にSAMU同乗によるプレホスピタル研修をおこなわせていただきました。
加えてNecker小児病院内の見学と地域中核病院であるLariboisiere病院およびEuropeen Georges Pompidou病院の救急部門を見学させていただいております。
SAMUはパリ市内のドクターカーシステムでAP-HPに所属する各病院に配置されていますが、私はNecker小児病院のPediatric SMURにて小児患者の対応を見学しました。
パリには中核的な小児病院が2つあり、そのひとつがNecker小児病院でした。印象的には日本の成育医療センターのような感じで専門的な小児診療および研究がおこなわれている病院です。
Necker SMURはパリ市内の小児救急事案やフランス国内の小児患者の転送事案に出動しています。私が研修中の出動は転院搬送の1例のみでありましたが、ドクターヘリ搬送を見ることができました。
出動の形態は横浜と似ており、司令センターの役割を担う組織が院内に配備されていました。出動する医師が直接救急案件の電話を確認したり、必要であれば電話相談を受けるシステムは合理的な印象でした。
また出動の合間に院内でおこなわれていたパリオリンピック・パラリンピックに向けての机上訓練を見学しました。
開催期間中にルーブル美術館でテロが起きた設定で、小児SAMUチームと成人SAMUチームが現場でのトリアージと患者搬送について合同で議論を行なっていました。
昨今の世界情勢やパリという土地柄、実際にテロが起きる可能性が高く、非常に緊張感を持った訓練をされていました。さらに外傷のゴールデンアワーである1時間という時間を参加者が非常に意識しており、我々が普段行なっている災害訓練とはまた違った観点での訓練が非常に印象的でした。
Lariboisiere病院とEuropeen Georges Pompidou病院の救急部門見学では実際の2次、3次救急診療を見せていただき日本と似ている点、異なる点を再認識することができました。
Lariboisiere病院はパリ10区の割と治安の悪い地域に位置しており、救急部門のトリアージと患者診療の動線および防犯体制が整っており診療体制について勉強になりました。移民問題などの欧州ならではの話も聞け、さらに中毒センターということでパリ市内中から中毒症例が集まってくるということで興味深かったです。
今回3病院をまわらせていただきましたが、いずれの病院においても医療スタッフの方々がとても優しく、フランス語がわからない自分にとても気を遣ってくださり非常にありがたい限りでした。他国の医療システムを知ることはもちろんですが、現地の医師、スタッフの方々とコミュニケーションをとることで、同じような想いや尊敬すべき意思を持って医療をされており、自分を鼓舞するきっかけになりました。
当教室では、教室員の国内外の研修派遣や留学について本人の希望に添えるよう、世界で活躍できるように教室全体で応援していきます。
EuroELSO2024参加報告
2024/4/23-27までの会期で、ポーランドはクラクフにて、Euro ELSO2024が開催されました。
Euro ELSOは、ヨーロッパにおけるECMOの学会です。今回が第12回目であり、1500人程度の規模になります。Euro ELSOは、ELSO(30年前に発足、北米中心)のヨーロッパ支部ですが、VV-ECMOでは、EOLIAstudyや、CESARtrial、そしてECPRではPrague study、INCEPTION tiralなどヨーロッパからであり、Euro ELSOの方が人気があります。
今回、広島大学の志馬先生らにAMEDの分担研究者として参画させていただき、CIRISIS(日本のCOVID19データベース)を用いて、日本におけるECMO中の出血性合併症についてその特徴と死亡に関する検討をしましたので報告して参りました。
発表はe-posterであり、日本と同じようにプレゼンテーションを行い、質疑応答でした。緊張はありましたが、Euro ELSOは英語圏でない参加者もおり、流暢な英語ではなくても許容され、Japanese Englishで、そして大きな声で発表しました。
内容の詳細は割愛しますが、国ごとに人種、患者背景、使用するECMOデバイス、ECMO管理方法などが異なり、多くの因子が関係するECMOにおいては、国ごとにその特徴を知り、対策を持つことが大事かと思いました。
ECMO中の出血合併症には、vWFが関係しているとされています。ECMO中にvWFが消耗され、後天的VWF欠乏に至るからです。またvWFの血中濃度は実は血液型に関係するとされ、O型には少ないとされます。ECMOの有用性はコロナや最近のECPRのstudy等で今まで以上に認識されてきましたが、出血合併症が死亡に関する一番のリスクファクターですので、これをコントロールする術を見出すことがさらなるECMOの有用性に向上につながるものと考えています。
さて肝心の学会での知見ですが、以下に概略をまとめます。
今回はECPR推しの学会でした。
- 呼吸ECMO
今回は特に目立ったトピックはなく、セッションも少なく、COVIDの終わりととも下火になっていました。かなり残念でした。 - ECPR
ARREST、Prague、INCEPTIONと大きなECPRに関するRCTが行われましたが、そのfirst authorたちがプレゼンをしておりました。
ただ結論は、ECPRで助かる人は20-40%程度であり、蘇生率を上げるためには、1)地域のシステムをいかにうまくコントロールするか、
2)患者選択をどうするかであると述べており、地域・国ごとに戦略を練るしかないと感じました。ただ欧米では病院到着まで60分かかるのが
一般的であり、病着が早ければ30分の日本においては、それこそpre-hospital ECPRなどを組み合わせれば、欧米の蘇生率を超える結果が得られるのでは
ないかと思い、日本?横浜?からの発表を目指したいと思いました。またECPRをして助からない場合でも、その24%が臓器提供ドナーになり得るため、ECPRの意義は大きいとの発表されておりました。donation after cardiac death:DCDという考え方です。日本でもECMO界隈ではこの話が出ていますが、その進みは遅いようです。その他としては、自己調整型の拍動流ECMO(controlled reperfusion of whole body :CARL)が欧州では発売されましたが、まだまもないためそのエビデンスや使用上の工夫などが発表され、会場を盛り上げていました。https://resuscitec.de/de/業者に日本でも使えないかと聞きましたが、米国でも販売もまだまだであり、日本はかなり先になりそうです。テルモなど国産メーカーに期待するところです。 - ECMOシミュレーション
ECMOのシミュレーションに関するセッションがいくつかありました。
ただ、欧州においては、シミュレーションは看護師やMEが主導で行う感じであり、医師の介入は少なさそうでした。
そして手前ミソですが、日本で行われているシミュレーションは欧州に劣るものではなく、自信を持っていいものだと認識し、
今後も更なる改良を加えていこうと思いました。またECPRのカニュレーションのタイムトライアルがあり、フランスのSAMUチームなどが目立っていました(シミュレーションでもカットダウンでした!!)。これは挿入のスキルだけでなく、チームダイナミクスなども大事なファクターであり、ぜひ今後センター病院でも、さらには関連施設交えてのタイムトライアルも行ってみたいと思いました。
ELSOでは、自分が読んだ論文の著者らが目の前におり、彼らがまた次の研究を進めているところを目の当たりにすると、そのアクティビティの高さに感銘を受けました。そして、逆に彼らがまだ注目していない点、自分としては肺エコーやrSO2については出し抜くチャンスがあるとも思いました。また今回はECPRがメインでありましたが、世界を真似るのではなく、日本オリジナル試みであっても十分通用すると感じましたので、Think globally, Act locallyの気持ちで、論文を読んでるだけでなく、彼らができていないことを
せひ横浜でやっていくを目指すべきかと思いました。
またポーランドのクラクフですが、学会がなければ行くことがなかったと思いますが、アウシュビッツ収容所がある街としても有名であり渡欧にあたり色々勉強しました(ただ自分霊感が強くアウシュビッツには行けませんでした)。島国日本と違い、地続きの国は国を維持することも大変であるのだなと学びました。物価は、昨今の欧米では珍しく日本と似たような感じでしたが、ポーランドは活気があり経済成長もしているようで、あっという間に日本を追い越しそうです。最近海外に行くといつも思いますが、日本はこのままでいいのかと考えてしまう旅でした。
ATS2025(American Thoracic Society)参加及びWeill Cornel Medical College訪問報告
American Thoracic Society(米国胸部学会)という世界で一番大きな呼吸器学会です。https://conference.thoracic.org/
Abstractは約7000、Speakerは29000人 参加者を合わせると...というような巨大な学会です。
この学会に初めて私が参加したのが2013年 Philadelphiaでありました。
そこから、2014,2016,2017,2018とこれで6回目の参加です。
私には本当に思い入れが深い学会です。初めての国際学会での発表がこの学会でありました。
またJoe Ray Wright Awardという学会賞を受賞したのもこの学会です。
この学会に演題が通るのが呼吸器領域の一つの登竜門というところもあり、今回は2演題が通りました。
??なぜ呼吸器?というところかと思いますが、私はもともと胸部外科(心臓血管外科・呼吸器外科)というBackgroundがありまして、大学院も呼吸器系疾患というより肺癌のリンパ節転移に関する基礎研究で取得しています。
初回参加した際の演題は、「COX-2-derived PGE2 forms SDF-1-expressing premetastatic niche via EP3 signaling in mediastinal lymph node with accumulation of immature dendritic cells.」まさにリンパ節転移を防ぐためにはどうしていくかというような内容です。
そこから基礎研究が始まったわけですが、今回の発表の内容は、
| 「Long-Acting Muscarinic Antagonist for Asthma Recovers Mucus Production and Normalizes Cilia Function in Epithelium with Human Airway Basal Cells in vitro ALI Model」 |
|---|
| 「Long-Acting Beta2-adrenergic Agonist and Inhaled Corticosteroids for Asthma Induced Mucus Production with Human Airway Basal Cells in vitro ALI Model」 |
喘息吸入治療薬に関する新しい発見を話しました。
おそらく、皆さんは気管支拡張薬(Inhaled Drugs, Bronchodilator)ということで、気管支平滑筋に働きかけて気管支を拡張させるということで、治療ラダーにしても、ICS→ICS+LABA→+LAMA→Tripleという構図があるかと思います。
これはClinical dataから得られた呼吸機能や症候からの治療方針の決定であったような状況です。
しかし、よく考えてみると、気管支拡張薬は直接平滑筋に働きかけるのでしょうか?
平滑筋に届く前に気管支上皮というバリア機能があるでしょう。ここを通過する時に何も作用していないの?というのに疑問を持ち、基礎研究を行っておりました。
私はニューヨークWeill Cornell Medical College, Crystal Labに3年半留学しており、そこで気道上皮細胞の特殊細胞系Air Liquid Interface(ALI) modelというものを習得し、それを日本に帰国してから行っておりました。
初めは失敗の連続です。ニューヨークでは、肺がん関連の仕事。帰国してからARDS modelを作成していて、その系の確立に苦労しました。
呼吸器内科の金子教授をはじめ、呼吸器内科の大学院生を教えながら喘息やCOPDの研究をしておりました。
金子教授は粘液産生細胞(Mucus Cell)の権威であり、私は被らないようにとCilia(線毛)に注目しました。喘息の病態は、機動分泌物が増え、それが排出できないということも気管支狭窄と同じくらいの問題になります。
LABA,ICS,LAMAを加えることでどのようになるのかということを研究していました。
セッションが始めると、非常にたくさんの方から質問を受けました。
どんな薬を使っているのか、Inhaled Drugだがlower chamberに加えても大丈夫なのか?clinical dataでは色々とみていたけど、Biological dataとしてこんなわかりやすいdataは見たことがないなどとお話しされました。
みなさん「ポスター発表ってなんかレベルが低いもの」と思われがちですが、一般口演は5-7分に3-5分の質疑応答がついてきて、その後は何もないと言うことが私は好きではなく、国際発表のポスターセッションは2時間くらいポスターの前に立っているとファシリテーターが回ってきて、次々と研究者が回ってきてくれて、いろんな話ができます。名刺交換ももちろんです。なので私は国際学会であれば断然ポスターを選択しています。
今回もたくさん英語でお話しできて本当に楽しい時間を過ごしました。
日本からも多数の施設から学会参加されており、交流を深めました。
次回は、Orlandoで開催されます。絶対に行こうと思いまして、現在研究の進行を進めています。
私が2014年から2018年まで留学していたところで、呼吸器関連の基礎研究をさせていただいておりました。
BossのRonald G. Crystalは30代で教授となり、呼吸器内科で世界的に有名な人です。
現在彼のラボに横浜市大4年生のリサーチクラークシップで3年前から学生を派遣しています。今回はそのお礼も兼ねて訪問しました。
久々の再会で緊張していましたが、実際に会うと非常にかっこいい!
全く変わらない姿勢に感動しておりました。
こちらが学生の受け入れについてお礼をいうと、「いやいや、君の送ってくれる学生はexcellentだから非常に助かっている。彼らは本当に頑張るからぜひ今後も送ってくれ」とおっしゃっておりました。
それから自身の現在の基礎研究の話をし、さらなる研究のアドバイスをいただき、今後も一緒に研究を続けていく算段となりました。
本当にありがたいことです。
ラボを離れると、少しずつ寂しさが増してきましたが、私の留学が自分にとって本当に良かったんだなと再認識することができました。
現在当教室から山口先生、南先生の2名が教室から海外留学に行っていますが、「憧れだけではいけません。行ってみないとその価値がわかりません。」お金も無くなるし、臨床経験ができないと思うかもしれません。
そんなのは後からなんとでもなります。でも留学の時期を逃すときっと一生行けません。留学はしなくてもいいかもしれません。けど、行けば何かがきっと変わります。
ぜひみなさんには世界への第一歩を勇気を持って進めていってほしいと願っています。留学等に興味がある方はいつでも連絡をいただければと思います。
2025.11.4
ESICM2025(European Society of Intensive Care Medicine)参加及びFrance留学先訪問報告
ESICM(European Society of Intensive Care Medicine)はヨーロッパ集中治療学会の略称でSCCM(アメリカ集中治療学会)と並んで世界最大規模の国際学会です。横須賀共済病院で昨年研究した鼠経シース挿入の際の合併症について調べた研究でeposterでの発表を行いました。
まず登録の際に910ユーロ(16万円)という学会参加費の高さに驚きました。
日本の学会とは比べ物にならない参加費ですが、国際学会はこんなもんだそうです。
会場はミュンヘン国際会議場で東京ビッグサイトのような感じでしょうか。大きなホールが二つとオーラル用の会場が10個程度です。大ホールに40を超える企業が展示を行っており、eposterの発表は企業展示のすぐ後ろで行われました。全てのブースが密集しており、あまり歩かないで散策できるように配慮されておりました。
初の国際学会に一人で参加というところでかなり不安でしたが、横浜医療センター時代の知り合いの医師がおり、JA広島の二人の医師と聖マリアンナ病院の神経ICUの先生と5人で1日目の昼に食事を共にさせて頂き、交友を深めました。
1日目の午後が発表でした。6月に演題採択が決まってからオンライン英会話等、英語の勉強をして臨みましたが、やはり質疑応答がネックでリスニング・スピーキング共にニュアンスまで伝えるのが難しく勉強を続けなければいけないと思いました。日本の学会よりもdiscussionが盛んで質問が4個もされ、国際学会を感じました。
アプリで調べたのですが、日本人の参加は28人で聖マリアンナ医科大学病院と東京ベイ浦安病院がグループ(4-5人)で参加しており、その他は2人で参加している人が多かったです。グループで参加できている聖マリアンナ大学病院の組織力の高さを感じました。ちなみに5年連続で来てる先生に聞いたのですが、毎年同じような日本人の顔ぶれらしいです。
2日目は主に企業ブースを回り日本では見られない機械を見学しました。
特に面白いと思った二つの機械を紹介します。
①横隔膜の動きを数値化するモニター
横隔膜の動きが悪いと抜管後の再挿管リスクが高いことは言われていますが、横隔膜の前後に大きい電極をつけてリアルタイムで横隔膜の動きをモニタリングし、数値化する機械。写真を添付するので参考にして下さい。上のモニターはデモの人につながっており、下のモニターは実際に再挿管になった人のデータだそうです。青い数字が横隔膜の動きの数値で1.5を下回るとリスクとのことです。
②CRRT+CO2リムーバー
CRRTの際に透析のダイアライザーに加えてCO2リムーバーをつけてミニVV-ECMOを行う機械。13Frのカテーテルで最大0.5L/minのフローをとって行い、酸素化はできないけどCO2リムーブのみ行うそうです。pHを保ち臓器サポートを狙っているそうです。こちらも写真を添付します。右が通常の透析のダイアライザーで左がCO2リムーバーです。
ワークショップやハンズオンは高額すぎて申込しなかったのですが、学会主催の脱出ゲームが無料だったので参加しました。イタリア人5人+道下というチームで部屋のなかのクイズ(診断問題や適切な抗菌薬を選ぶ問題等)を解きながら脱出を目指すゲームです。言語の壁はありましたが、脱出ゲームをしたことがあったので少しはチームの役に立ち、無事脱出することができました。脱出成功率は30%ぐらいでした。脱出後にイタリア人とハイタッチし、とても楽しかったです。
学会全体では中国人のレベルの高さに驚きました。中国人は60人以上参加しており、10個しかないベストアブストラクトに中国から2個選ばれておりました。実際ベストアブストラクトの発表を聞きましたが、研究のレベルも高いし、質疑応答も完璧で驚くばかりでした。また中国含めていろいろな国の学生が発表しており、それにも驚きました。
余った時間は観光していました。ドイツは物価が日本と同じぐらいで治安も良く人も優しく、とても過ごしやすかったです。
費用や研究・発表の準備等ハードルも高い国際学会ですが、初めて参加して、とても刺激を受けました。去年鈴木先生がANZICSで発表しており、自分も発表したいと思ったのが参加のきっかけです。
横浜市大救急医学教室が国際学会でも存在感を示していけるように願っています。自分も引き続き頑張ります。
せっかくヨーロッパに来たので夏休みを利用してフランス・パリに留学中の南先生の病院訪問と見学をさせて頂きました。
南先生がデータ解析研究を行っているラリボワジエールAP-HP病院はパリの北に位置しAP-HPはパリ公立病院連合を意味しているそうです。ネットで調べたのですが、病床数は1333床でした。1850年代にナポレオンの妻が作った病院で増築されている部分もありますが、中心は1850年の建物が今も使用されています。病院内に教会があり、ヨーロッパを感じました。パリの病院は病院ごとに特色があり、この病院は産科救急と中毒センターが特色とのことです。
南先生は院内の研究棟でデータ解析の研究を行っていました。
オーベンが二人いて与えられたテーマで複数の研究テーマを同時に進めていました。指導体制はとてもしっかりしており、大きな研究をするにはプロセスを一歩一歩踏んでいく必要があるのと指導者が必要であることを強く感じました。1日1日のノルマ等はなく、次の休暇までにここまでやってみようかみたいな感じだそうです。マウスの研究をしているわけではないので研究室ではなく、カフェ等でデータ解析を行う人もいるそうで自由だなと思いました。
研究室には数名の留学生がおり、今は南先生とシリアの女医さんがいました。日本人は1年以上いる人がほとんどですが、欧米人は数週間〜数か月で移動する人も多く人の出入りは激しそうです。
定期的に英語でリサーチミーティングをしており、そこが大変だと南先生は言っていました。当たり前ですが、院内はフランス語の表記しかなく、ここで生活しながら英語でdiscussionしている南先生はすごいと思いました。
余った時間はパリ観光をしていました。12年ぶりにパリに来たのですが、2024年のパリオリンピックを契機に警察の数を増やしたそうで、治安は驚くほど良くなっており、一人でぶらついていましたが、スリ等の危険は感じませんでした。
活動報告 2026.2.1
NAESMP2026 International Medical Director Course
&
Visit to Ryder Trauma Center
(小川医師より)
アメリカ・Tampaで開催中のNAEMSPに参加し、「International Medical Director Course」を受講しました。
このコースは3日間にわたり、「Medical Directorとは何か」という基本から、具体的な役割について学ぶプログラムです。
さらに、Miamiで現在臨床留学をされているACSグループ山口先生の施設Ryder Trauma Center(Jackson Memorian Hospital)を訪問しました。
以下に報告をまとめましたので、共有させていただきます。
NAESMP2026 International Medical Director Course in Tampa, US
1日目(1月26日)
初日は「Medical Directorとは何か」をテーマに学びました。参加者は約300名で、アメリカを中心に、サウジアラビアやカナダからの方々もいらっしゃいました。日本人は竹内教授と私の2名のみでした。
内容としては、Medical Directorの役割、米国EMSとDispatchの仕組み、他機関との連携、教育プログラム、テロや多数傷病者事案への対応、心停止患者への対処などが含まれ、日本との違いを強く感じました。
また、実際の事例を用いた小グループディスカッションも行われましたが、考え方や背景が異なるため、議論は非常に難しく感じました。米国でのMedical Directorの責任の重さには驚かされました。
2日目(1月27日)
2日目は、Medical Directorの責任の大きさや訴訟リスク、救急隊員への指導方法、適切な救急搬送に必要な戦略などを学びました。
また、具体的なケーススタディや全体でのワークも行われました。この日は特に、Medical Directorとしての覚悟や重責について深く考えさせられる内容でした。
3日目(1月28日)
最終日は、小児EMS、政治との関わり、EMSの財務問題についてのワークショップが中心でした。
特に、AED購入時の財務計算や経費削減のシミュレーションは、非常に実践的で難易度が高かったです。
こうした計算をMedical Directorが行う必要があることに驚きました。
<全体の感想>
3日間を通じて、米国におけるMedical Directorの役割や立場、そして複雑なEMSシステムについて深く学ぶことができました。
参加者との交流を通じて、各国のMedical Directorの考え方や責任感にも触れることができ、大変有意義な経験となりました。
ただし、英語での講義が朝8時から夕方5時まで続き、さらに時差ボケもあり、かなり体力を消耗しました。
来年は2024年1月11日から3日間、テキサス州オースティンで開催予定です。Medical Directorに興味のある方は、ぜひ受講をご検討ください。複数人での参加をお勧めします。
特に若手の先生方やMC関連の業務に携わる方には、非常に学びの多い機会となるはずです。
Ryder Trauma Center in Miami, US
Miami international ariportに到着すると、山口先生がBaggage claimで待っていてくれました。
久々に異国の地であった山口先生、元気そうで何よりでありました。
Miami市内を車でHotelまで連れていってもらい、その日はCuba Restaurantでキューバ料理で舌鼓を打ちながら、山口先生の近況を伺いました。
日が明けて、朝からHotelに迎えに来ていただき、DowntownのRyder Trauma Centerへ。
アメリカの病院は一つの建物に全ての科が入っているわけではなく、各Pavilionで分かれているような感じです。
Trauma Departmentと ER Department totalで年間100,000件の救急車をとっているということでひっきりなりに救急車が来ているような状況で、山口先生の部門は外傷のみに特化しているということでありました。
交通外傷、熱傷、刺創、銃槍などあらゆるものが来るようで、外傷初療室に収容し、診療するというスタイルです。
勤務は24時間の勤務、明け、休みというシフトになっているようで、完全に担当が決まっており、非常にシステマティックになっています。
アメリカらしい分業システムは進んでおりました。
山口先生のBossにお会いすることができるということで、竹内先生と共にBossとお会いし、山口先生が頑張っていることを伺いました。
その後ヘリポートにBossに連れていっていただき、いろいろなお話をさせていただきました。
実際分業化はアメリカは進んでいるものの、やっていることは救急外傷診療であり、非常に多くの症例を経験しているという印象でありました。
カンファレンスの状況や当直室、そのシステムなどを伺い非常に楽しかったです。
その後フロリダ南部の湿地帯からキー・ラーゴに一緒にいき、マングローブを含め、非常に素晴らしい風景を拝見することができました。
今回の訪問で、成長した山口先生、いろいろなマネージメントをしている山口先生を見ることができました。久々にお話しし、とても頼もしく思いました。
国際交流
コロンビア大学島田先生講演会(2018.7.3)
『米国における卒然卒後臨床教育の実際』と題して平成30年6月27日にニューヨークコロンビア大学循環器内科に所属する島田悠一先生に講演をしていただきました。当日は、医学生、若手医師をはじめ60名以上の方が来場されました。
第1部として、島田先生のアメリカでの臨床留学の経験に基づいて、臨床留学の意義、留学に伴う代償など、臨床留学のメリット、デメリットをご講演いただきました。
第2部として、島田先生に加え、基礎研究で留学していた当教室の小川医師にも加わっていただき、基礎・臨床留学に関わることに関して来場された方と意見交換が活発に行われました。留学での経験、目指した理由、USMLEの対策などから実際にアメリカでの生活に関わることまで非常に活発な議論が行われました。特に医学生から多くの質問があり、両名の先生方から非常に貴重なアドバイスをいただいておりました。
Franceから留学生受け入れ(2018.7.5)
現在、横浜市立大学附属病院市民総合医療センター高度救命救急センター(横浜市立大学救急医学教室)に2018年7月よりUniversité Paris DescartesからAndy Benzi (medical student, 4th grader) が1ヶ月間留学見学実習を行なっております。
滞在中は救急スタッフ・研修医・医学生と共に救急・集中治療の現場はもちろん関連病院・消防などの横浜および日本の救急現場の実際を経験してもらうプログラムを組んでおります。このプログラムを通じて日本・フランス間での救急・集中医療の共通点・相違点を学び双方の発展に繋がることを目指しております。
Franceから留学生受け入れ(2019.7.15)
2019年7月 よりUniversité Paris Descartesからの Sieta Gassama (medical student, 4th grader)が 交換留学プログラムにて当大学に来て、当科で2週間の研修を行いました。
昨年(Andy Benzi, medical student, 4th grader)に引き続き 福浦およびセンター病院での臨床実習で救急スタッフ・研修医・医学生と共に救急・集中治療の現場はもちろん、救急医療におけるシュミレーション実習・関連病院で横浜および日本の救急現場の実際を経験してもらうプログラムを組んでおります。また本年は基礎研究室の活動性向上に伴い、救急科で行なっている基礎研究を指導医・大学院生・医学生とともに体験してもらいました。また、7月13日・14日両日センター病院で当教室が主催するJATECTMに参加し、外傷診療についての講義・実技を体験してもらいました。
今後2週間毎に形成外科・整形外科・泌尿器科を実習し、 2ヶ月の日本の滞在の予定です。この交換留学プログラムを通じて日本・フランス間での救急・集中医療の共通点・相違点を学び双方の発展に繋がることを目指しております。
インドAIIMSから横浜視察(2019.8.21)
8月15日AIIMS All India Institute of Medical Science JPNA Trauma Centerよりマルホトラ所長はじめ4名の先生(Dr. Amit Lathwal、Dr. Abhinav Kumar、Dr. Samarth Mittal)が来横されました。
AIIMSはインドのニューデリーに位置する巨大な医科大学であり臨床だけでなく研究も非常に積極的に行なっている病院です。現在インドでは個人の車所有が増える最中、交通法整備がされておらず交通事故による死傷者数が爆発的に増えているようです。AIIMSはそれらの重症外傷を一手に担っており年間の外傷手術件数は7000件にも登るようです。
今回、川村と山口先生はアテンドとして先生方にお供させていただきました。
以下が当日のスケジュールです。
10:00〜11:45 横浜市大付属病院紹介 ACU、研究ラボ等施設紹介
11:45〜12:30 食事at ロイヤルパークホテル シリウス
13:30〜14:00 横浜消防(保土ヶ谷)見学
14:30〜15:30 対テロ合同多機関訓練(日産スタジアム)
以上報告となります。
4人の先生方には非常に好感いただけ満足していただきました。
今回の交流をきっかけにAIIMSの先生方とさらに親交を深めて教室を発展していければと思っております。
Thailandから留学生受け入れ(2020.1.31)
2020年1月よりThammasat University, Thailandからの Peerada Kobkarnsakul (medical student, 5th grader)が交換留学プログラムにて当大学に来て、当科で4週間の研修を行いました。
世界各国でCOVID-19の感染拡大が広がる中ではありましたが、センター病院・福浦・横浜/横須賀の救急科関連病院での臨床実習で救急スタッフ・研修医・医学生と共に救急・集中治療の現場はもちろん、救急医療におけるシュミレーション実習・関連病院を経験しました。救急医療は母国タイでも経験がなく、日々新鮮な体験が刺激になったようです。
滞在中、日本でもCOVID-19拡大により救急車同乗や各施設への訪問など横浜の救急医療を紹介することができませんでしたが、各教室員が工夫を凝らし、横浜および日本の救急現場の実際を共有することができました。
期間中、off the job trainingの開催はありませんでしたが、何事にも積極的に参加する彼女に我々も当大学医学生も非常に刺激を受けました。
この交換留学プログラムを通じて日本・タイ間での救急・集中医療の共通点・相違点を学び双方の発展に繋がることを目指しております。
タイ・タマサート大学建築学科学生が高度救命救急センターを見学しました
横浜市立大学グローバル都市協力研究センター(GCI)では、持続可能な都市のための国際学術コンソーシアム(The International Academic Consortium for Sustainable Cities:IACSC)のメンバー大学であるタイ・タマサート大学のFaculty of Architecture and Planning (TDS)の学生を招聘し、6月12日~18日でTDS + GCI International Summer Schoolを開催しています。
テーマは、「Cities at Risks - Urban Resilience to impacts of Climate Change(都市の危機ー気候変動に対する都市のレジリエンス)」です。
報告 2025.11.7
ベトナム・ハノイ医科大学代表団が高度救命救急センター・横浜消防司令センターを見学しました
2025年11月5日1公立大学法人横浜市立大学は、ベトナムのハノイ医科大学(Hanoi Medical University、学長 Prof. Nguyen Huu Tu, M.D., Ph.D.)と、遠隔医療・救急医療・脳外科領域を中心に、人材・研究交流等を推進することを目的としたMOU(Memorandum of Understanding:覚書)を締結しました。本MOUにより、医療分野における国際的な連携がさらに強化されます。
両大学は、本学教員がハノイ医科大学への訪問・視察を契機に、日越の医療関係者による交流機会の創出を目的とした調査研究を実施し、関係を築いてきました。
本MOUは、本学の医療分野における研究活動の国際展開及び連携強化に資するものであり、大学間の組織的な協力と人材交流を通じて、両大学の発展と国際医療の向上に貢献していきます。
YCU プレスリリースはこちら
この連携推進の一事業として、当教室の救急診療を訪問されるということで、救急医学教室として、今回ベトナム・ハノイ大学代表団の市民総合医療センター高度救急救命センターの視察と横浜消防司令センターの視察を行いました。
以下専攻医・古川医師から報告です。
ベトナムのハノイ医科大学からいらした先生方のアテンドをさせて頂く機会を頂きました。
今回はJapan Vietnam Health Bridge(JVHD)という本学麻酔科の先生がベンチャーを起業し行っている遠隔ICUプロジェクトの医療人材交流の訪問でした。
私自身、海外が身近な環境で育ち、国際医療福祉大学を卒業したのも国際的に働きたいが故で、学生時代の臨床実習も1ヶ月はベトナムで行いました。
今回竹内教授が取り計らいで、横浜市立大学救急医学教室としての国際的な取り組みに携わらせて頂きました。
海外の医療事情を知り、どんな国際協力が今後出来るのか、どんな人がいるのか知見を広めることができ心躍る充実した1日となりました。
ーー午前ーー
救急外科Acute Care Surgery、REACTの説明
市大センター病院の見学(センターカー、初療室、EICU、ヘリポート)
南消防署 救急車、消防車の見学
ーー午後ーー
横浜市消防本部の見学
(特別高度救助部隊SR、司令センター)
懇親会@桜木町
ベトナムにはREBOAはないそうで興味を持たれていました。また、保険制度の違いもありますが、救急システムも未発達で、重症患者が自家用車でwalk inで来るため現場は混沌としていると仰ってました。
救命士養成の制度や救急車の配備を国をあげて行っており参考にしたいと仰ってました。
また、今回実際に司令センターを見学し、消防の方に直接お話を伺うことができました。
自身の初期研修は他県で行っていたため、4月は応需の際に困惑もありましたが、YMATや様々なプロトコル、指導医など整った横浜の救急システムに改めて感動しました。専攻医としても普段と違う視点から学ぶことができ非常に勉強になりました。
視察団は、五日間で様々な施設を見学するハードな日程の中、多くを吸収しようと日本の医療についてたくさん質問頂き嬉しく思いました。
日本は人口減少や安全整備により事故が減る中、ベトナムは人口増加に伴いバイク事故など患者も増えており多くの症例数経験を積むにはwin-winとのことです。
同時期にベトナム現地を視察された先生のお話も楽しみです。今回このような機会に恵まれ、入局して良かったと感じました。今後も国際交流の機会があれば是非積極的に参加させて頂きたく思います。
当教室では、ベトナム・ハノイ医科大学現地への訪問も行っており、現地の救急医療体制・外傷診療に対する視察も行っており、先日現地視察にセンター病院外科グループ藤平医師が現地を訪れてきまして。
以下藤平医師より報告です。
ベトナム医療視察レポート
「グローバルサウス未来志向型共創等事業」の一環として、“遠隔ICUシステムによる海外での遠隔救急・集中治療体制の構築”を目指す取り組みが進行中です。
今回はこの取り組みへの視察として、私は附属病院の麻酔科・脳外科の先生方やICU看護師さんたちとともにベトナムの3つの病院を訪問しました。
訪問した病院で現地の医療体制に触れながら、遠隔システムやリモート医療の将来的な可能性を考察すると同時に、私は個人的なミッションとして「交通外傷の多いベトナムで、短期間で日本ACS(救命外科医)が実臨床経験を積む意義」に焦点を当てました。以下より、3病院についての詳細な視察レポートをお届けします。
ベトナムの街の様子
ハノイの交通事情はまさに混沌そのもので、125ccのスクーターが市民の主な移動手段となっています。
ノーヘル禁止のルールはあるものの施行は緩く、携帯電話を使用しながらの運転や複数人乗りも一般的。
交通事故が頻発する状況下でも、搬送される外傷件数は思いのほか少数に留まるとのことでした。これは、事故の深刻度が低い場合には病院に運ばれない現状や搬送体制の不足によるものと考えられます。
ベトナムの救急医療体制には多くの課題があり、心停止患者が自力で病院に向かわなければならないケースもあるとのことでした。
交通外傷が多い環境でありながら、搬送機能や医療資源が追いついていない実態が浮き彫りになりました。
その中でも、ハノイ医科大学病院など現地医療機関には急速な対応が迫られる様子が見て取れました。
視察病院レポート
① ハノイ医科大学病院
ハノイ医科大学病院は、ERが完全に飽和状態で患者数が1日350人に達するといいます。搬送は家族によるものがほとんどで、医療従事者の不足が深刻であることが一目瞭然でした。医療機器は整備されている一方で、運用面では人手不足により主に腹部外傷の際には開腹手術が多く行われている状況が垣間見えました。
また、過密な状況の中でも、患者を治療室に振り分けるトリアージや院内での電子デバイス活用には努力を感じました。
ただし、日本のような精密な事前準備や緊急対応は難しい状況です。ハノイ医科大学病院の現場からは、医療現場の混沌の中にも熱意を感じました。
② ハノイ医科大学ICUセンター
ICUセンターは、コロナ禍に仮設で造られた施設がそのまま現在も機能している平屋建ての病院です。外科系患者こそ少ないものの、内科患者の受け皿として救急年間約4000件を担当。人工呼吸器やECMOなどの装置も整備されていましたが、人員不足や衛生面の課題が目立ち、感染症対策が大きな課題となっていました。そして、ここでも患者家族がケアをする姿が一般的であり、そのための混雑や感染リスクも顕著でした。
③ バクマイ病院
バクマイ病院はベトナム最大のマンモス病院であり、3600床を有する総合病院です。医療機器は日本と同レベル、むしろ最新設備が導入されている場面もありました。ただし人員不足という課題が依然として病院全体に広がっており、ERも飽和状態でした。
ストレッチャーで待機する患者が多数おり、診療科への引き取りまで時間を要するシステムの中で、医療従事者たちが必死に奮闘している姿が印象的でした。混沌という言葉では片付けられないほどの苦境の中でも、現場に根付く熱意と執念を感じさせる場面が数多くありました。
暗中に見つけた光――ベトナム医療の熱量
今回の視察で見たベトナムのERや救急医療体制は、日本の医療と比べても物資や設備面では遜色なく、むしろ進んでいる点も少なくありません。
しかし、医療現場の人員不足や感染症対策などの課題が顕著であることが分かりました。そして何より感じたのは、「混沌の中でも救う理由を見出し、前進し続ける」現場の熱量です。
日本の医療は整いすぎた環境によって、熱意や情熱が薄れがちな面があるかもしれません。ベトナムの医療現場で感じた“混沌の中で笑い合いながら救う”精神は、救命外科を支える根源的な価値だと感じました。
今後の展望
遠隔ICUシステムの未来を描くプロジェクトの中で、ベトナムの救急・集中治療の現場を肌で感じ、その中で“現場の人”の重要性を再認識しました。
テクノロジーの進化がいかにあろうとも、救命外科医としての原点である「手術で誰かを助けたい」という情熱は不変です。この視察で得た“混沌の熱”を、これからの医療に還元していきたいと思います。
救命医療の新たなカタチを模索しつつ、異国での経験を日々の実践に活かしてまいります。
活動報告 2026.4.9
台湾医師団訪問
2026年4月8日台湾医師団8名が横浜市・横浜市立大学救急医学教室を訪問されたましたのでご報告いたします。
台湾・新台北市という人口400万人の要する横浜市と似たような人口の自治体の病院である、Far Eastern Memorial Hospitalから医師(救急医・外傷外科医・レジデント)、NP、Paramedicsがいらっしゃいました。
https://www.femh.org.tw/mainpage/index.aspx
walkin,救急車を断ることなく全応需している病院だそうで、病床数は1000床を超えているそうです。
今回の訪問では、千葉北総・宇都宮済生会・横浜市大を訪問され、今回3日目の公式には最後の訪問だったようです。
千葉北総ではドクターヘリを、宇都宮済生会ではECMOカーなどについてを見学されたそうです。
4/8 10:30から横浜市消防局司令センターを訪問され、竹内先生から説明を受けながら見学されていました。横浜市のトリアージシステムの効率や救急配備などの整った救急体制に感動されておりました。
午後から横浜市大附属病院に移動しましたが、偶然、横浜医療センターから吉田救命士が患者搬送に来られておりましたので、そこでドクターカーについての説明をしていただきました。
その後、昨年医療連携を結びました横浜消防局航空隊(横浜ヘリポート)に徒歩で移動し、横浜市の消防ヘリの体制や我々附属病院医師との訓練の状況、現場出動ついての説明を受けた後、ホイストからの吊り上げの実地訓練を見学し、機内での医療行為に関する動画も見ていただき、山岳救助・水難事故に対する協力体制を見ていただきました。
台湾はドクターヘリはなく、海上保安庁・消防・警察が合同管轄するヘリでの活動を行っているようです。
附属病院に戻り、医学部5年生のシミュレーション講義を佐藤先生がされておりましたので、見学いただき、その指導法と積極的な学生の参加に非常に高評価を受けました。
センター病院に移動し、谷口先生・山本救命士からECMOカー・ドクターカーを説明したいただいた後に、屋上へリポートへ移動し、ヘリの受け入れ体制についてご教示いただきました。
EICU・SCU・後方病棟を見学していただき、ERからの集中治療という集学的な診療体制に驚かれておりました。
Far Eastern Memorial HospitalはER型ということで、センター病院や附属病院が行っているようなER+intensive careということはしていないようです。
アメリカの診療体制と日本の診療体制を真似ているということもあり、両方がmixされたような救急診療体制をとっているようでありました(トリアージは5段階)。
今回の訪問中に、当教室スタッフとそれぞれ色々な意見交換が行われ、各所でいろんな話が展開されておりました。
これから導入しようとしているドクターカーに関する議論、prehospitalでの立ち振る舞い、救急診療体制についてお互いのこと出し合い議論しました。
救急育成体制に関しても、専攻医期間が3.5年であるとか、外傷外科医の教育は5年間の外科トレーニングの後に行うということなどを話しました。
台湾でのNurse Practitionerに関しての話にもなり、日本と同様15年ほど前からこの制度を政府が推奨していたが、実際にやっているのは患者・看護師のマネージメントであり、やれる行為が限定されている。しかも看護部付(日本では診療部付のこともある)で給与体系も看護師と同様らしく、あまりメリットを今のところ感じられていないと言っておりました。なので、paramedicsの資格もお持ちでした。彼はDMATのような災害も積極的に行っており、logisticsについても学んでおり、非常に高いモチベーションで仕事をやっている印象を受けました。
若者がこのような海外研修に積極的に参加し、第2言語である英語で積極的にコミュニケーションをとり、情報を得ているところを見て感心しました。
この辺りが日本人の弱いところなのかもしれませんが、これから教室をあげてどんどん積極的に関わっていければと思います。
これからもこのような海外の先生方が当教室を訪問されることが多いと思いますので、これからもこの「縁」を大切に切磋琢磨していければと思います。