活動報告

 活動報告  2026.7.12

2026年度関東蘇生アカデミーに参加しました。


2026年7月12日に日本医科大学を会場に開催された関東蘇生アカデミーが開催されました。
横浜市立大学附属病院市民総合医療センター武田医師が事務局員として参加しましたので報告します。


★今年の関東蘇生アカデミー

関東蘇生アカデミーは、心停止患者の予後向上を目指し、病院前から病院内へとつながる蘇生の質を高めることを目的とした学びの場で、2023年から始まり、今年で4回目の開催となりました。教室員の中でもweb参加された方もおられたかと思います。
おかげさまで年々参加者は増えており、今年は現地参加100名以上、web参加登録は2000名を超えてのセミナーでした。言わばある種の学会のような形になってきました。
当教室からは竹内先生、谷口先生、歌田先生、山本救命士、久保救命士が現地参加しました。


★内容について

1日かけてのセミナーであったため内容を全て詳細にここでお伝えするのは難しいですが、私なりに解釈、要約した点を下記に示します。

「アドレナリン投与のタイミングそのものが患者の予後を左右する独立変数である」

この認識はセミナー全体を貫く最も強いメッセージであったと思います。しかし単に、早期投与そのものが目的ではなく、投与後も現場で徹底したHP-CPRを継続し、薬剤の効果が発現する時間(発現まで約5分程度)を確保することが重要であることも主張されてました。
つまり、「アドレナリン&Goではなく、アドレナリン& Stay HP-CPR」という発想が重要であり、それを許すシステム・文化を構築すればその先に停滞している予後の劇的な改善があると言えます。
病院到着までの時間を短くすることで予後が改善する、といったエビデンスは存在しません。現場で、質の良い胸骨圧迫・迅速な除細動・迅速なアドレナリン投与・適切な換気で、現場でROSCさせることが良好な神経学的予後の改善につながります。


では、HP-CPRという言葉は最近よく耳にするようになり理解されてきていますが、実際にHP-CPRが実践できているのか?というと実際には大きな乖離がある、ということを我々は認識しなくてはなりません。「測定なくして改善なし」と仰られていた先生もおられました。
つまり、CPRの質(深さ・速さ・中断時間・CCF)を現場でリアルタイムフィードバックデバイスを使用して可視化しない限り、気づけないこと。そして測定するだけでは改善には繋がらず、デブリーフィングを行い組織的なPDCAサイクルとしてしっかり回して初めて質が向上すると言われてました。ここに関しては、我々横浜市の課題でもあるのかなと思いました。
また、竹内先生が登壇された「全国統一か?地域実装か?」というPro/Consセッションもありました。
都道府県別に目撃ありの心停止ROSC率は最大3.03倍、社会復帰率に3.48倍もの地域格差があり、半数以上の地域で事後検証をプロトコル改善に繋げるPDCAサイクルが機能していないというデータがあり、最低限の全国統一プロトコルが必要であるという意見もありました。
これに対して、竹内先生は国レベルの審議では長い年数がかかっている現状を指摘し、横浜で実践されている早期アドレナリン投与を目的とした指導医連絡の2段階化を例に実際のデータを示し、現状まずは地域実装が重要であり、将来的に統合を目指すという結論に至っております。
その他、明日7/13に発刊されるJRC蘇生ガイドライン2025について改訂の要点の説明が非常に勉強になりました。

 

以上をまとめると、、、
ガイドライン2025が示す新しいエビデンスはすでにわかっています。
しかし、それを現場で本当に実践するには単なる知識の周知では足りず、

①データによる可視化と組織的な改善サイクル
②MCとの連携による心理的・制度的保障
③早期搬送文化からの意識転換
④それを支える現場発の継続的なエビデンス創出

という一連の「実装科学」が必要不可欠であるという主張に集約できるのではないかと思われます。

日本の蘇生率は世界に比べてまだまだです。
12月には横浜で蘇生を考える会も予定されております。
ぜひ引き続き、みなさんと共に考えていきたいと思います。
私自身、改めて現場すなわち病院前心肺蘇生を真剣に見直していきたい、と感じた1日でした。


以上のように蘇生に関しても更なる蘇生率向上のため教室の「蘇生WG」が中心となって、横浜・横須賀から全国に、さらには世界に発信できるような活動をしています。
このような取り組みに興味のある医学生・研修医の方々は気軽にご連絡ください。

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