活動報告 2025.4.14
横浜消防航空隊とのヘリ救助訓練
現在、全国各地でドクターヘリでの医療活動が行われております。横浜市立大学附属市民総合医療センター高度救命救急センターでは重症外傷症例をはじめドクターヘリでの受け入れを積極的に行っています。
一方で、特定機能病院である横浜市立大学附属病院は独自のヘリポートは有しておりませんが、すぐ裏に横浜消防航空隊ヘリポート・神奈川県警ヘリポートがあり、山岳救助をはじめ、様々なヘリでのレスキューなどを行っています。
このような立地条件はなかなか他では例をみない状況で、山岳救助をはじめとする救急医が救助のプロと共にヘリで現地に駆けつけ、人命救助にあたる将来を想定し、横浜消防航空隊とヘリ救助訓練と行いました。
以下小川医師より報告です。
丹沢や葉山の山奥での遭難事故などで横浜消防航空隊が出動した際、横浜市金沢区近隣である横浜市立大学附属病院でも対応可能な症例も多いということもあり、ヘリ救助に関する合同訓練を敢行いたしました。
今回は丹沢で滑落し、負傷し動けない患者の山岳救助を行い、ホイスト後搬送途中の上空で安定化を行い、ヘリポート搬送後附属病院救急車での附属病院での受け入れ体制を整えることを目標に訓練を行いました。
流れとしては、
- 横浜市消防局ヘリポート航空科から附属病院救急医師に要救助者の事前の受け入れの連絡が入る
- 当日の受け入れ担当リーダーが先着救急医に連絡→着替えて資機材(輸液・挿管セット・エコー。胸腔ドレーンなど)を背負い、ハーネス着用のもと自転車(災害倉庫に常備)で先にヘリポートに向かう。
- ヘリポートへの後追い救急医が徒歩でヘリポートに向かい、事前の状況把握を行う。
- 院内での体制を整え、病院救急車の出動準備、受け入れ体制の構築を各署と調節(救急外来・庶務担当等)
- 先着救急医はヘリに同乗し、現場で医療行為を行う
- ヘリの帰還時間・患者状態により受け入れ可能かどうかの判断を行う(高度外傷の場合はセンター病院への受け入れも考慮)。
- ヘリ帰還時間に間に合うように病院救急車にてドクター同乗でヘリポートに向かう
- 安全に患者を引き継ぎ、附属病院に運び救急外来で処置を行う。
一連の流れとしては上記のようになっており、事前に打ち合わせの上フローを作成しております。
このフローを確認しながら、①から⑦までの訓練を行い、ヘリポートまでスムーズに行けるかどうかをチェックしました。思いの外ヘリポートまではスムーズに行け、特に自転車が役に立ちました。




ヘリ内の環境や現場でできることを実訓練見学後に討論し、今後の訓練でもさらに突き詰めていこうということになりました。
2回目の訓練は、実際にヘリに搭乗し、上空でホイストしている最中にハッチが開いている状況の確認・ハッチが閉まった後の状況などを確認し、実際にヘリ内がどれくらい安定しているのか。危険性は?などを実際に体感しました。
ドクターヘリに比べ、消防ヘリは機体が大きく、機内は動きやすいのではないかと思いましたが、初めて搭乗してみてわかったことが多々ありました。





3度目の訓練は、消防ヘリ内での医療行為について、
- 気管挿管は可能か?
- 胸腔ドレーン挿入手技は可能か?
- 開胸心臓マッサージは可能か?
- その他
など現場で行い得る医療行為について実際に上空での立ち回りをシミュレーションを行うことができました。
今後も横浜消防航空隊と訓練を行い、連携をとりながら、実際の救助要請の際に「医療のプロが現場に行くことで命を救う」救助ができるように精進したいと思います。
このように横浜市立大学救急医学教室では、関係部署との顔の見える関係を構築し、より良い救急診療ができるように日々訓練などを行っています。
興味のある医学生・専攻医・医師の皆様気軽にご連絡いただければと思います。