活動報告 2026.9.1
横浜市災害対策本部運営訓練&ビッグレスキューかながわ2026に多くの教室員が参加し、災害日米合同訓練を行いました。
2026年9月1日は防災の日ということで全国各地で防災に関する訓練が行われました。
今回横浜市災害対策本部運営訓練および厚木市消防学校でビッグレスキューかながわ2026が開催され、当教室からも多くの教室員が参加し、日米合同の災害訓練を行いました。
横浜市災害対策本部訓練には、武田医師・久保救命士が参加しました。
またビッグレスキューかながわは、神奈川県が主催し、県内のDMATチーム・米軍(Army, Navi, Air Force)・自衛隊が参加し、それぞれが協力し災害対応を行います。
ビッグレスキューかながわ2026
今回は当教室小川医師(大学附属病院)が統括本部コントローラーリーダー、土井医師(横須賀共済病院)が訓練統括として訓練をコーディネートし、それぞれのエリアでの救護活動を行いました。
それぞれ教室員からの報告です。
<横浜市災害対策本部:武田医師>
横浜市災害対策本部の訓練に、市大センターDMATとして参加し、横浜市役所の災害対策本部に入って活動しましたので、ご報告いたします。
- 今回の訓練では、横浜市災害対策本部の一員として、主に以下の活動を行いました。
・災害拠点病院13病院の状況把握
・重症患者の転院調整
・神奈川県災害対策本部との連携
・日本DMATの受領および各医療機関への分配 など
実際に訓練に参加する中で、災害時の医療活動を円滑に進めるためには、行政のみで対応するのではなく、災害医療の現場を理解している医療機関の人間が災害対策本部に入り、行政と一体となって活動することが非常に重要であると改めて感じました。
特に、各医療機関の被災状況や診療継続の可否、重症患者の受け入れ・転院調整など、現場の医療機関と直接つながる情報を本部の意思決定に反映させるという点で、DMATが本部に参画する意義は大きいと感じました。
また、今回、市大センターDMATとして実際に本部訓練へ参加したことで、我々が災害対策本部に参画し、医療面から行政の意思決定を支援することの意義についても、行政の皆様に理解していただく機会になったのではないかと思います。
このように医療機関のDMATも市役所に入り、行政の方達と共に継続的に訓練に望むことが実災害を乗り越えるためには必要不可欠であると考えます。
今回の経験を今後の横浜市における災害医療体制の構築や、当院の災害対応にも活かしていきたいと思います。
<横浜市災害対策本部:久保救命士>
本訓練は、大規模地震により横浜市内に甚大な被害が発生した想定のもと、発災48時間後の災害対策本部の運営を想定して実施されました。
訓練では、EMISへの情報入力・確認、病院の被害状況の把握、患者搬送の調整、受入可能数の確認など、情報の収集・整理・共有を中心に対応しました。
実際の災害時には限られた人員で複数の業務を担うことが予測されます。そのため、情報が錯綜する中でも、必要な情報を整理し、確実に共有することの重要性を改めて感じました。
また、発災から時間が経過するにつれて、医療支援だけでなく、ライフラインや避難所対応など、地域全体の状況を踏まえて優先順位を柔軟に見直す必要があることも学びました。
今回の経験を活かし、今後も横浜市大センターの業務調整員として、情報整理・共有や連携を意識し、横浜市の災害医療体制に貢献できるよう努めてまいります。
<現場救護所本部統括コントローラー:小川医師>
本日防災の日9/1 厚木市にある神奈川県総合防災センターにてビッグレスキューかながわが開催されました。
今回大規模地震想定で、県内から12隊のDMATチーム、横須賀自衛隊病院から2隊、日本赤十字2隊、米軍がArmy 2隊、Air Force 2隊、Navy 2隊及び自衛隊35名が参加し、現場救護所訓練が行われました。
8時30分に集合し、そこから想定傷病者を考えながら統括本部DMAT(附属病院DMAT)にそれぞれのゾーンに配置をしていただきます。
チームビルディング・ブリーフィングを行い、いざ訓練が9時45分から開始となりました。神奈川県は米軍が共に訓練を行うというかなり特殊な訓練を行っています。ここに必要となってくるのは、各ゾーンにおけるコミュニケーション、後方搬送に関わる日米の連携、実診療に関わる日米の協力などあまり普段の日本DMATだけではやらないような状況も入ってきます。
実災害において、米軍と日本DMATとの協力は神奈川県にとっても必要不可欠なところですので、このような訓練はいざというときに非常に役立つであろうと思います。
また、今回は現場の災害カルテに関しまして、J-SPEEDを使用した情報の共有も日米で行ってもらうという訓練も行いました。J-SPEEDは基本的に日本DMATが使用するものではありますが、今回米軍が診た患者も日本人リエゾンが中心となって報告するという方式を取りました。
今回65名の傷病者が訓練で対応しましたが、ほぼ全員J-SPEEDの記録がなされていました。おそらくダブっているところ、十分に情報が埋められていないところ等もあると思いますが、これからそれを精査したいと思っています。
しかし、このJ-SPEEDに関して、米軍側が非常に興味を持たれており、「非常に使いやすそうなアプリなんだけど、日本語しかないのが。。。」と言っておりましたが、もともとMDS(Minimum Data Set)という欧米でも使用されているものでありますので、非常にFamilialなものかと思います。
神奈川県でもこのJ-SPEEDを英訳して今後どのようにしていくかを検討しないといけないかと考えています。今回の訓練には当教室からも隊員として参加及びコントローラーとしても参加いたしました。
非常に学びが多い訓練であったのではないかと思います。
毎年この訓練に関わらせていただいておりますが、米軍側からは毎年非常に大きな学びがある、むしろ今年は非常に良い要求が本部側にもありました。実際、今まで米軍の方々はComand & controlがそれぞれの隊で非常にしっかりしていたので、エリア分けする際にも各隊(Navy, Army, Air Force)で配置した方がいいかと思っていた部分でありましたが、それは心配に及ばず、「今回はバラバラで米軍は活動したい」ということでありましたが、しっかりと指揮系統も取れており、非常に感心しました。ずいぶん柔軟にしていただいているなと思いました。
よくこのビッグレスキューの作業部会でも米軍の方々とお話しさせてもらいますが、毎年毎年この訓練が楽しみで、いかに米軍が日本の医療に関わっていけるか、どのように工夫すれば役に立つだろうと相談していただくことが多くあります。
米軍の方々も入れ替わることもありますが、大体の方が2回目以上の参加の方もいらっしゃり、それぞれ課題を持って挑まれています。例年このコラボレーションの距離が縮まってきているように私は感じています。
やはり問題として挙げられるのは、
- 言語を含むコミュニケーションの問題
- トリアージ方法、資機材の違い
- 米軍側は全員が医療者でないため医療行為をどのようにやっていくか
- 患者情報の共有方法の検討(医療カルテ、日本語訳・英語訳がないもの)
などが挙げられるかと思います。これを訓練時間内に話し合いながら統一していければと思いますが、何しろ2時間という時間の制約がある中で、全てを行うのが難しいと思いますしかし、少しでもこのようなトレーニングで縮めていければと思います。来年以降の訓練もこのあたりを踏まえて考えていければと思います。
また今回は、9都市訓練の幹事でありました。
訓練の最中に高市首相、小泉防衛大臣など政府の要人が参加され、訓練を体験されておりました。非常に注目度の高い訓練であったと思います。
30年以内に起こりうる可能性が高いと言われている南海トラフ地震に対して、また最近日本各所で起こっている自然災害時の災害対応の際のより良い対応ができるように各自・各施設でも災害訓練等での備えをよろしくお願いします。
<黄エリアプレーヤー:福井医師>
自分含む横須賀共済病院のDMATチームは黄色トリアージエリアに配属され、トリアージされた傷病者のtreatmentやマネジメントの部分を中心に行わせていただきました。南部病院の廣見先生リーダーのもと診療を行なって参りました。
前回の訓練では赤エリアに配置されたので、その時と必要な物資や患者の優先度など考慮すべきポイントが異なりマネジメントに関して学びの多い訓練となりました。
しかしながら、自分のブースには幸か不幸か重症度が高く早急に対処しなければいけない症例が多く運ばれてきました。リーダーとも協力し迅速な搬送を行うことができ、また今回はJ-SPEEDなどで患者情報を共有しながらマネジメントを行うことができたので、そこは今後も生かしていきたいと思います。
一方、課題としては資材などに過不足がありまだまだ準備が足りない部分があったこと、情報入力に慣れず煩雑になったり時間がかかったりしてしまったことなどが挙げられました。反省点はしっかりフィードバックして準備を行っていきたいです。
<海老名総合病院:臼井医師>
今回は海老名総合病院を主幹とし、市大センター病院含め7病院合同での訓練となりました。
我々が到着した時にはすでに指揮所が立ち上がったタイミングであり、各病院が挨拶後にそれぞれの役割に割り振られる形で訓練は開始されました。
センター病院は情報調整のタスクを担当し、茅ヶ崎市立病院チームと合同で活動しました。
具体的には、EMISの情報を整理し、要支援の病院内での優先順位や電力や水の備蓄量から必要物資を概算し、物資担当へ伝達する業務を行いました。
EMIS入力はDMAT-L研修以来であり、慣れない部分も多くありましたが、有事には欠かせないツールであるため、実際に使用できる良い機会となりました。
訓練が進むにつれて、被害が当初の想定以上に大きいことが判明し、支援の必要性が増えていくという非常に臨場感のある内容でした。その都度、どの病院へどの隊を派遣するべきか、追加のDMAT派遣をどの程度要請するべきかなど、さまざまな検討事案が生じ、災害支援における状況判断と調整の難しさを痛感いたしました。
訓練自体も非常に学び多いものでしたが、それ以外にも特に2点、印象に残ったことがありました。
1点目は、今回指揮を執られていた海老名総合病院の取り組みです。
今年7月末に実際の災害拠点病院に指定されたばかりとのことでしたが、綿密に準備をされていたことが伝わる活動内容であり、病院全体としてのモチベーションの高さが伺えました。
副院長の先生からは、民間病院における災害医療への関わり方は難しさもあるとのお話も伺いましたが、その中で多職種が力を合わせて災害拠点病院としての役割を全うしようとする姿勢はぜひ見習っていきたいと感じました。
2点目は、院外とのつながりを実感できたことです。
DMAT-L研修でお世話になった先生方が今回も多数企画側で参加されていたほか、神奈川救急医会で知り合った先生方とも再会することができました。こうした横のつながりがあることで、適度な緊張感を持ちながらも、円滑に訓練を進めることができました。
災害医療は一施設のみで完結することは困難であるため、少しずつではありますが今後も病院の垣根を超えた関係性も大事に育んていきたいと思います。
災害はいつ生じるかわかりません。南海トラフ地震などが想定されていますが、いざという時に日本だけではなく、米国をはじめその他海外の方々との災害に対する協力が必要不可欠となります。
救急・集中治療など通常診療だけでなく、災害診療などにも力を入れ、横浜市・神奈川県全体で対応できるように当教室日々精進していく所存です。
ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。