活動報告 2024.11.20
医療ドラマ監修をやっています
横浜市立大学救急医学教室では、臨床・研究・教育はもちろん全力で行っておりますが、その延長線上に日常診療に極力負担がかからない程度で医療ドラマの医療監修を行っています。
医療ドラマも現実とあまりにかけ離れているものは、Realityに欠けるところであり、より現実に近いものを提供するために現場やスタジオ等に出向いたり、セリフ・状況等の確認の相談を受けたりしています。
これは強制ではなく、あくまでも希望者で、その要望に対応できるスタッフが行っています。
教室員2名からその感想について報告してもらいます。
今回、医療ドラマの監修という、今まで自分が経験したことのないジャンルであり、折角の機会と思い手をあげさせていただきました。
ドラマの撮影自体は朝8時頃から行われていたようですが、自分は途中の10時頃から参加しました。
現場の責任者の方から説明を受け、実際の撮影現場を案内していただきました。
丁度そのタイミングで心肺蘇生のシーンを撮影するとのことで、医者・看護師役のエキストラの方に胸骨圧迫やバックバルブマスクでの換気方法を助言させていただきました。
医療従事者ではなく一般の方に対して心肺蘇生を指導するという、BLSやACLSのインストラクターとは違う今までにない新鮮な経験でした。
エキストラだけではなく俳優さんにも心肺蘇生の指導をしましたが、積極的にこちらに意見を求めてきて、そのシーンに対する意気込みが感じられました。
一つのシーンのために、ほぼ半日かけて撮影していましたが、その間色々な職種の人たち(自分達医療監修も含め)が話し合いをしながら進められて行きました。
時間の都合により、残念ながら14時前に失礼させていただきましたが、もう少し見ていたくなるような明るく楽しい、それでも真剣な現場でした。
ドラマの現場は一つの作品に対して様々な分野の専門家が集まって撮影し作り上げていく集団でした。
これはチーム医療にも通じるところがあり、それぞれの職種が密に話し合い物事を進めて行く姿に非常に感銘を受けました。
自分の助言で医療的な説得力が強くなり、それがドラマで使われるという普段では得られない経験もできます。
また、今回は心肺蘇生のシーンでしたが、その現場を俯瞰的に見ることと役者さんから質問をされることにより、普段自分は何を考えて、どのように動いているのか?実は何もしてないのでは?といった様に、普段の自分を見直すこともできました。
テレビドラマの医療監修に参加させていただきましたのでご報告させていただきます。
私が関わったシーンは上記の続きのシーンであり、心肺停止患者が蘇生するシーンでした。
実際の放映時間は10分ほどと想定されますが様々な角度から同じシーンを繰り返し撮影し一回一回丁寧に見返しており朝7時30分から夕方16時までの1日がかりの撮影となりました。
監督をはじめとした、俳優、撮影係、技術係、美術係の方総勢50名以上が真剣にドラマ作成をしている現場であり緊張感をもって医療監修にあたらせていただきました。
監督や俳優の方から心肺蘇生法、バックバルブマスクの使用方法、除細動器の使用方法等積極的に意見を求められ、一救急医としてプロ意識をもって指導させていただきました。
一つ難しいと思った点は、臨床的に正しい医療行為が、視聴者がいるようなフィクションの世界は必ずしも求められないといったところです。
視聴者にインパクトを残しつつ、公的なメディアという立ち位置で正しい医療を画面越しに一般市民に伝えるという両立が難しく、監督や撮影係とも話し合いながら落としどころを決めていった場面もありました。
今回、普段の生活では絶対に経験できないような貴重な機会で、初めてのことに驚きながらも非常に楽しく有意義に医療監修をさせていただきました。
皆様も一度はテレビで見たことあるような俳優、女優の方と至近距離でお話できたのもとてもうれしかった思い出の一つです。
医療監修という他ではなかなか経験できない業務にあたれるこの環境は、当教室の非常に大きい特徴のひとつとも思います。
過去には「Get Ready(TBS)」「Vivant(TBS)」の医療監修として関わらせていただきましたが、今後もこのような医療ドラマ・映画に教室としても協力できるような体制づくりを継続していきます。
ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。