活動報告 2024.7.28
教室主催臨床手技トレーニング2024を開催しました。
横浜市立大学救急医学教室では、専攻医を対象としたoff the jobトレーニングとして、教室が主催するシミュレーショントレーニングを毎年2回開催しています。
2024年7月21日に2024年度1回目のシミュレーショントレーニングを開催しました。
<指導医より>
今回は、2024年4月から専門研修を開始した専攻医4名を受講生として、教室内の指導医10名と大学附属病院の臨床工学技士2名がインストラクターとして参加しました。
手技:
①CHDFの理論とトラブルシューティング
臨床工学技士からCHDFの理論とトラブルシューティングと返血方法について学び、教室指導医からは中心静脈カテーテルの安全な挿入、骨折部位の固定方法といった、日々の診療で必要となる知識と手技を学んでもらいました。
②REBOA挿入手技
使用頻度は多くないものの、必要になった時にはミスが許されないREBOAの使い方を、実際の器具を使いながら学んでもらいました。
③成人気道確保トレーニング
救急医にとって不可欠な知識・技術である気道確保に関するトレーニングですが、Difficult airway managementについての知識を学んだ後、ビデオ喉頭鏡や気管支鏡の安全かつ効果的な使い方、外科的気道確保として輪状甲状間膜切開の手技を経験してもらいました。
④小児気道確保トレーニング
教室内の小児科グループの協力のもと、小児患者の気道確保について学びました。終盤には、シナリオトレーニングを通じて、救急外来で生じる気道確保困難の症例への対応を経験してもらいました。
朝から夕方まで長時間のセミナーになりましたが、受講生、インストラクターともに学びが多い、充実した1日になりました。
<受講生・専攻医より>
午前はCHDFの返血の仕方、骨折のシーネ固定やREBOA、CVC挿入手技と注意点を学びました。
午後は救急初期対応で重要なAの異常に対処できるように、気道管理を座学と実技でトレーニングしました。
成人の挿管は色々な器具の選択肢があって、それぞれに適した場面と苦手な場面があることを改めて学びました。まずは喉頭鏡使用に慣れてからとは思いますが、色々な器具を積極的に使っていきたいなと思いました。
小児の気道確保は初めてで、小さな器具を実際に見て使って、より難しさを実感できました。
シナリオトレーニングは、なかなかうまくいかない部分もあり、刻一刻と状況が変わる救急の場面で状況を冷静に分析して行動することの難しさを改めて実感しました。
フィードバックの時間の中で、実際講師の先生方も悩む場面があることを知り、まずは色々な選択肢を思い浮かべて次の手を考えて準備ができるように学んでいこうと思いました。
ケースシナリオでは気道緊急症例に対してリーダーとして方針を決めなければならないといったセッションでしたが、いざ自分で方針を決めなければいけないとなると焦ってしまい思考が止まってしまったり、手技も上手くできなかったりしてしまうこともありました。
そんな中でスタッフの先生方に優しくご指導をいただき、また普段どのような思考で上級医は診療を行なっているのかを学ぶ大変勉強になるセッションでした。
まずは本日学んだことを復習し、今後の日々の診療で活かしていけるように努力していきたいと思います。
午前中の骨折の固定、CV挿入については経験のある手技でしたが、これまでは不完全な知識の中で行なっていたことを実感しました。今回学んだことを活かし、一人一人の患者さん合った手技を心がけたいと思います。
また、CHDFの返血、REBOAの挿入については未だ経験がなく、シュミレーションにて基礎から時間をかけて学ぶことができ、有意義な時間を過ごさせていただきました。
午後の気道管理の講義、実習を通して以前よりも気道確保の手段に選択肢が増え、患者さんごとにどの方法が最善か考えながら対応していきたいと思いました。
ケースシナリオトレーニングでは自分自身がリーダーとなりチームを動かす経験をさせていただきましたが、シュミレーションと分かっていても焦ってしまう場面や周りからの様々な意見に迷ってしまうこともありました。実際はより思い通りにいかないことばかりだと思いますが、このような経験を積み重ね、少しずつ成長していきたいと感じております。
質疑応答の時間では、インストラクターの先生方の中でも選ぶ薬剤や、手段が異なり正解がないことを実感するとともに、改めて救急医療の難しさ、その中でも自分の決断に自信が持てるよう学び続けることが大切だと感じました。
当教室では教室員教育も研修医教育や学生教育と同様に力を入れており、救急で必要な手技の習得を上級医から行うことによって、救急現場・集中治療現場でいつでも実践できるような体制づくりを教育チームを形成して行っています。
いつ何時でも急変などの対応ができる救急医の要請に力を入れています。
約100名の教室員それぞれが様々な高いスキルを持っている集団ですので、その後進への指導も欠かさず行っております。
手技をしっかりと学びたい、その学んだ手技を実践したいと思う研修医・専攻医の方々も多いかと思います。ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。