研修報告

 参加報告  2024.9.20

ドクターヘリ・ドクターカー研修報告

長崎医療センターでの研修


当教室専攻医森貴昭先生が、2024年4月より国内出向により長崎医療センターで研修を行っております。
横浜ではあまり経験できないドクターヘリ研修・出動などを学んでおります。
森先生からその研修に関する報告です。


長崎医療センターの森です。
ドクターヘリ・ドクターカーの研修が始まりましたので、研修報告をさせていただきます。

長崎県は有人離島が最も多い県として知られていますが、県土の多くが海や山に囲われてりドクターヘリの導入も早く、年間約800件ほどの出動実績があります。プレホスピタルケアの利点として医師による速やかな救命医療の提供があります。
限られた情報であらゆる状態を想定し、限られた資材で処置を行い、看護師や救急隊とうまく連携を取り、現場滞在をいかに短く搬送できるかが面白さの一つと思います。
また、ドクターヘリではそれに加えて適切な高度医療機関へ迅速に収容できることが大きな利点と実感しております。 
長崎県は主に県北、県央、県南、離島の4つ医療圏に区分され、各医療圏に救命センターが設置されていますが、地方の救命センターでは医療体制に限界があるため症例や現場判断によっては他の医療圏へ直接搬送したり、旅行者なども多いため、近隣他県の医療機関へ搬送することもあります。

先日乳児の痙攣重積を近隣他県大学病院へ搬送した事案がありました。
機内では痙攣が判断できないため直近救命センターへ搬送し状態の安定化が優先と思われましたが、ミダゾラム筋注で鎮痙が得られる状態であり、当日家族よりかかりつけ大学病院へ問い合わせをしていたこともあり県をまたいでの搬送としました。

現場では必ず迷うことがありますが、制限が多くある中で何を根拠にどういった判断を下すのか、こう言った病院選定もドクターヘリの面白さだと思いました。

また、ドクターカーについてはYMATのような、いわゆるピックアップ型が採用されていて、日によっては看護師の同乗がないのですが、長崎医療センター敷地内に消防分隊が設置されており顔なじみの救急隊と活動することになるため、非常に連携が取りやすいです。
実際に救急隊との現場活動が増え、彼らの情報収集力やトリアージ能力、判断力は非常に高いと感じています。プレホスピタルにおいては臨床はもちろんのこと、周囲とのコミュニケーションは非常に重要であり、よりリスペクトをもって活動しています。
まだ多数傷病や重傷外傷などは経験できておりませんが、多くを学ばせていただいております。

長崎医療センターでは、来年度からドクターヘリが二機体制になる予定です。
自衛隊ヘリや防災ヘリを使った夜間の離島間搬送も経験できます。
海はとても綺麗で、先日は空から軍艦島を見物することができました。
特に専攻医の先生方は、一度、プレホスピタルの研修も検討されてはいかがでしょうか。


 当教室は横浜・横須賀地域での救急診療を学ぶだけでなく、他県・他施設での研修も多く行っており、救急診療・集中治療を中心に学んでもらう教育システムがあります。
この多様性の時代に個々の能力に応じた、個々の希望を極力叶えるような専攻医研修プログラムを持っています。
他施設連携プログラム・国内外留学プログラム等々もありますので、今後のニーズに対応できるシステムを持っております。
当教室だからできることたくさんあります。
興味がある若手医師の皆様、お気軽に横浜市大救急医学教室までお問い合わせください。

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