参加報告

 参加報告  2024.8.25

第8回日本集中治療学会関東甲信越支部会に参加しました。


2024年8月24日にお茶の水ソラシティカンファレンスセンターにて開催されました第8回日本集中治療学会関東甲信越支部会に参加し、竹内教授が座長・谷口医師がシンポジストとして参加いたしました。
VA-ECMOに関する最新の知見について議論いたしました。以下谷口医師より報告です。


第8回日本集中治療学会関東地方会シンポジウム1:VAーECMOの標準化において「合併症予防と管理」という演題で発表させていただきましたのでご報告いたします。
コロナ禍にてVVーECMOの標準化はECMOnetのおかげである程度進み、日本のVVーECMOの成績は、2009年のインフルエンザパンデミックの36%から、2021年のCOVID19では70%までになりました。
標準化には集約化が必須であると考えますが、日本では欧米のように患者の集約化はできないため、ECMOnetによる情報の集約化、そしてECMO講習会等による教育の集約化が功を奏したと私は考えております。
 
一方でVAーECMOは、昔から日本の多くの施設で行われ、それぞれの施設での発展もあり、なかなか標準化することが難しいと感じるところです。そしてECMOにはどうしても合併症が不可避であり、それをどうしたらいいのかが私に与えられた命題でありました。
 

  • 発表では、以下を主に話させていただきました。
  • 合併症(AKI、出血性合併症、機械的合併症など)は不可避であり、起こるものとして常に留意しておくこと
  • 合併症は個別で起こるのではなく、相互関係があるため、全身モニタリングが必要(rSO2、両側SpO2、APCO/SWG、POCUS)
  • 循環合併症としては、左室unloadingが鍵であり、Impella、さらにはVADの導入適応を循環器内科・外科と密接に話合うべき
  • 出血性合併症では、後天性 von Willebrand 症候群に対してどう対応するかが今後の課題。
  • ユニット全体で合併症を意識し、チーム医療を行うこと(ECMO導入プロトコールの策定等、トラブルシューティング)
  • 合併症を制すれば、ECMOの可能性はさらに広がる

 
シンポジウムには、救急集中治療医だけでなく、循環器内科の先生もおり、総合討論ではさまざまな視点からの意見があり、演者の私も大変勉強になりました。そしてこういった話合いが日頃のVAーECMOではまだ十分にできていないとも感じるところでした。
 
実際ECPRから始まり、左室のunloadingが必要となってECpella、そして心機能が立ち上がりdifferential hypoxiaとなって、V-AV ECpellaとなり、Impella残して、ECMOを離脱する、あるいは離脱できずVADを考えるといった症例もあると予想され、救急集中治療、循環器内科・外科が、共通認識をもち検討する必要があると思います。しかし、頻度の多くない疾患における共通認識は一夕一潮でできるものではないため、それに対してはやはりシミュレーションや症例検討など「教育」が鍵になると思います。
 
VV-ECMOの教育は当教室内においてもある程度の形ができていると自負はありますが、今後VAーECMOの教育についてもYACHTとして、循環器内科等とのコラボも含め、より一層進めていくべきだと強く認識いたしました。
当教室員であればVA、VV問わずECMO管理ができるを今後の教育目標としていきたいところです。


 当教室ではECMO team(YACHT)のようにより専門に特化したグループで上級医が責任者・指導者となり、より専門的な知識を日々研鑽しております。
最近では、ICUグループ・ERグループも新たに新設され、さらに専門分野の知識を増やしています。もちろん、教室員は重複してそのグループに所属し、それぞれの専門分野についてexpert opinionをいつでも聴ける環境を作っています。
当教室の「多様性」を活かした教育方針・診療方針に興味がある若手医師の皆様、お気軽に横浜市大救急医学教室までお問い合わせください。

 
 
 
 
 
 
 
座長:竹内教授
 
発表者:谷口医師
 
全体討論会の模様

 

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