活動報告 2024.11.23
ビッグレスキューかながわ2024に多くの教室員が参加し、災害日米合同訓練を行いました。
2024年11月23日厚木市消防学校でビッグレスキューかながわ2024が開催され、当教室からも多くの教室員が参加し、日米合同の災害訓練を行いました。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/j8g/bigrescue/bigrescue.html
このイベントは神奈川県が主催し、県内のDMATチーム・米軍(Army, Navi, Air Force)・自衛隊が参加し、それぞれが協力し災害対応を行います。
今回は当教室土井医師(横須賀共済病院)が統括コントローラーとして訓練をコーディネートし、それぞれのエリアでの救護活動を行いました。
それぞれ教室員からの報告です。
<統括:土井医師>
今回、作業部会員のメンバーとして、訓練の立案とコントローラーを行いました。
政府訓練のような規模の大きい訓練とは異なり、自衛隊や米軍などの関係機関との距離が近い訓練ができることが特徴です。
日米連携をキーワードの一つとして、過去の訓練を重ねてきました。
今年の訓練は天気に恵まれたことも重なり、MIXな活動ができていて頼もしい訓練だったと感じております。
ビックレスキューかながわ参加者はDMAT-Lメンバーを主体に選出しており、機会があれば是非とも立候補してください。
このように日米の違いを間近に感じられる機会は貴重です。
<赤トリアージエリアコントトーラー:大井医師>
本日はビッグレスキューのコントローラーとして参加させていただきました。
このような大人数の訓練でのコントローラーとしての参加は初めてのため緊張しましたが、見慣れたメンバーがいることや、土井先生が統括リーダーであったことなど、顔を知っているメンバーがいたため緊張を和らげてくれました。
顔を知っている関係を広げていくには、こういった訓練などに参加して、一緒に活動していくことから生まれることも感じました。
赤エリアのコントローラーでしたが、どうやったらプレーヤーがそのエリアの活動を円滑にできるようになるのか、全体の流れを円滑に進めていくにはどんなアドバイスを伝えれば良いか、他のエリアのコントローラーとどんな情報を共有しながら進めて行けば良いのかなど、色々なやり方を学ぶことができました。
米軍と協力しながら一緒に診療していくということはできたのではないかなと思います。
今回の訓練で積極的に自分からコミュニケーションをとりに行く大切さを強く感じることができる訓練でした。
今後もタスクやコントローラーなどに参加することで、経験を積んでいきたいと思います。
<統合本部指定プレーヤー:小川医師>
ビッグレスキューかながわに参加したのは私自身初めてでした。
今回のテーマは日米合同訓練でコミニュケーションをしっかりとり、円滑に災害発生時の対応を協力しながらやろうということを目標としていました。
準備の段階からNavi, Air Force, Armyと積極的にコミュニケーションをとり、いざ本番のセットアップを開始しました。
いざ訓練がスタートすると日米双方に確認しなければならないこと、自衛隊との連携など色々な問題があり、DMATで学んでいることと、自衛隊の考え方、米軍の考え方などを鑑みながら、一体どんなことが災害現場に必要なのか、それぞれにどのような要求を出して、どのように対応してもらうのが最適なのかということを議論することに尽力しました。
今回の訓練において、米軍側はno planであり、毎年参加しているが、今年は来年以降に繋げるように訓練をして、必要なところを吸収していきたい、実際にこんな訓練はなかなかできないのでとてもexcitingだとMedical Emergency Managerがはじめから話していました。
我々も日本のDMATの考え方であったり、本部のlogisticsなどを共有しながら議論できました。途中で、「傷病者受け入れに対するform(雛形みたいなもの)は共有しているのか?formがあれば統一できてやりやすいというような意見もありました。それぞれのエリアから日本語に翻訳したものを持ってくることをやってくれておりましたが、忙しくなると難しかったようです。なので英語であろうが日本語であろうがどちらでも対応できるようにしないといけないと思いました。
お陰で米軍に関しては、
①神奈川周辺の米軍医療機関の状況
②キャンプや駐屯地での医療体制・病院の受け入れキャパシティや専門性など
③米軍救急調整班の医療用救急車を含めた搬送手段要請の難しさ
④日本の車両の米軍施設への乗り入れ
⑤米軍への協力要請の難しさ
⑥DMATのロジスティックスがどれだけ多くの役割を分担しているか(米軍は個々に細分化されておりました)
自衛隊においては、
①自衛隊関連施設の仕組み
②自衛隊搬送手段(ヘリを含めて)
③米軍との合同演習はよくやっているが日本のDMATとはあまりやったことがなかったのでとても刺激になった
双方共に軍という組織であり、普段知らないことを学ぶことができました。
防衛省から通訳2名、米軍1名の通訳の方が一緒に入ってくれていましたが、ある程度は1人で調節できることができ、安堵しております。
というよりも、異国の方とのコミュニケーションをずっと取らせてもらって本当に楽しかったです。
黄・赤トリアージエリアでもしっかりとコミュニケーションをとりながらできたという報告を受けて、協力し合えたと双方から報告されておりました。
本部リーダーとして何をすべきか、方針を立てる、何が問題であるのか、そのようなことを学ぶことができ、非常に有意義な訓練でありました。
<統合本部サブリーダー:坂口医師>
今回私は本部のサブリーダーとして、小川先生のもとで、DMATチームの取りまとめと搬送調整を行ってまいりました。
本部は附属病院、南共済病院、当院のチームで構成されました。
把握すべき情報として、各エリアの傷病者や搬送を要する患者だけでなく、箱・人のキャパシティやスタック状況など、多岐にわたるところではありますが、それらを確立する前に情報がなだれてくる状況でした。
内部の立ち上げに手間取りましたが、人員配置に関して、チームビルディングを再度し直したことで順応できたと思います。
流動的な現場では、こうした見直しと再構築を繰り返すことが重要でした。
ビッグレスキューでは、神奈川のDMATチームだけでなく、米軍(陸海空軍)や自衛隊(陸自海自)など、幅広い協働がテーマにありました。
その中で、搬送手段としての自衛隊車両(4名同時搬送可能)であったり、搬送先としての米軍病院へ日本車輌の乗り入れが可能なのか、など本訓練ならではの点に関して、米軍や自衛隊と連携できたかと思います。
言語の壁の先に、まだまだ調整できる課題が山積であることを感じました。
ただ、本来の目的であった、米軍や自衛隊との協働にたどり着くまでに、時間を要したことが心残りであります。
次の訓練…が本番かもしれない、というのが災害ですので、すぐにチーム内での反省やこうして先生方との共有で繋げていければと思います。
<赤トリアージエリア:福井医師>
自分含む横須賀共済病院のDMATチームは赤トリアージエリアに配属され、トリアージされた傷病者の安定化、treatmentの部分を中心に行わせていただきました。
チームの中には当院のスタッフだけでなく米軍の医療従事者にも入っていただき診療に当たりました。さらに日本語が話せない傷病者も搬送されるとのことで、片言程度しか話せない自分としてはかなりコミュニケーションに難渋することを危惧しておりました。
また、自身もこのような大きな訓練は初めてでありましたので緊張感もあり上手くマネジメントできるか不安を持ちながら訓練が開始されました。
しかしながら、米軍の方々は皆様フレンドリーでとてもやりやすい空気を作っていただき、なんとか安定化→搬送への部分を滞りなく行うことができたと思っております。また、普段行っている病院内での診療と異なり限りある資源や搬送手段でいかに上手くやりくりし優先順位をつけるかを考える良い機会となりました。
一方、個人的な課題としては資材に過不足があったり適切な機材をすぐ出せなかったりと準備が足りない部分がありましたので病院に戻って準備を怠らないようにしていきたいです。
<統合本部:藤井医師>
私は本部に配置となり、受け入れ先の病院と対応可能な疾患•人数の把握、搬送振り分け、搬送手段の確保を行いました。
<自分の役割を通して>
日本の車両は米軍の敷地に基本入れないため、その許可をとってもらうことは可能か |
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一般の日本人患者を米軍病院や自衛隊病院で診てもらえるか |
どの病院でどの科のどの重症度の患者を何名受け入れられるか |
赤トリアージ、黄トリアージが何人おり、うち何人が受け入れ先が決まっていないか等、確認すべき事項が多くあることを学びました。 |
特に上2つは日米合同訓練だからこそ生まれた確認事項でした。
また、情報が随時飛び交う中で自分の必要な情報を拾い上げることが難しく、自分の知らないうちに搬送手段•搬送先が決まっていることもあり、体制に関して改善の余地があると感じると同時に、やはり密なコミュニケーションが重要であると認識しました。
災害はいつ生じるかわかりません。南海トラフ地震などが想定されていますが、いざという時に日本だけではなく、米国をはじめその他海外の方々との災害に対する協力が必要不可欠となります。
救急・集中治療など通常診療だけでなく、災害診療などにも力を入れ、横浜市・神奈川県全体で対応できるように当教室日々精進していく所存です。
ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。